1994 Fiscal Year Annual Research Report
光化学分解反応による規則配列したCo量子クラスター、細線の形成
Project/Area Number |
06650359
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
五味 学 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (80126276)
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Keywords | 量子ドット / 量子細線 / 量子クラスター / 光化学分解 / 有機金属薄膜 / フタロシアニン |
Research Abstract |
本年度計画1.フタロシアニンCo薄膜の成長条件の確立、2.光化学分解反応条件の探査に基づき行った研究により以下の新たな知見を得た。 1.では、MBE法により(111)Si、(111)Gd3Ga5012(GGG)、および(001)雲母単結晶基板上にフタロシアニンCo薄膜成長を試み、基板温度10℃で(100)面の強い配向膜を作製することができた。特に、雲母上では、AFMを用いた膜表面観察により約0.6mm周期の縞状分子配列が確認された。これは、フタロシアニンCo(100)面内のベンゼン環配列に対応することを明らかにした。 2.では、真空中(10‐2Torr)でのフタロシアニンCo薄膜へのエキシマランプ光(波長170nm)の照射前後の物性変化を調べた。その結果、膜のX線回折ピークは光照射により完全に消失すること、また、フタロシアニン特有のπ‐π*電子遷移による600〜700nmおよび300nm付近の光吸収ピークは、光照射時間の増加と共に減少し、Co酸化物の光吸収スペクトルに近づくことを初めて見いだした。また、ラザフォード後方散乱および光電子分光法による組成分析の結果、光照射後の基板上生成物はCo酸化物であり、十分な光照射により有機成分は完全に分解、除去されることを明らかにした。これらは、本研究で提案した光分解により目的とする量子クラスター、細線を形成させ得る可能性を示唆するものである。 以上の結果に基づき、今後、厚さ数nmの超薄膜の光分解による基板上生成物の配列構造がフタロシアニンCo結晶中の原子配列になることを電子顕微鏡を用いて観察する予定である。
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