1995 Fiscal Year Annual Research Report
光化学分解反応による規則配列したCo量子クラスター、細線の形成
Project/Area Number |
06650359
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology, Hokuriku |
Principal Investigator |
五味 学 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (80126276)
|
Keywords | 量子ドット / 量子細線 / 量子クラスター / 光化学分解 / 有機金属薄膜 / フタロシアニン / ステアリン酸金属塩 |
Research Abstract |
本年度研究計画に基づき行った研究により、以下の新たな知見を明らかにした。 1.量子細線形成に有望なステアリン酸Co,Zn,Cu薄膜のKCl(100)、Si(111)上へのMBE法によるエピタキシャル成長を試み、KCl上には、室温以下で量子細線の形成に最適な(110)エピタキシャル膜を得ることが出来た。しかし、X線光電子分光による組成分析、およびFTIR‐ATRによる結合モードの解析の結果、膜中の金属イオン濃度は理想分子組成の10%程度に留まり、その値は成膜パラメータにあまり依存しないことが明らかになった。この結果を基に、今後、理想組成を持つエピタキシャル膜を形成する条件を検討する予定である。 2.フタロシアニンCo薄膜の光化学分解過程を明らかにするため、UV光(172nm)照射前後のC,N原子の結合状態をX線光電子分光を用いて調べた。その結果、C‐N結合がC=C結合に比べ相対的に早く切断、除去され、最終的には予想どおりCo‐Oが基板上に残留することを見いだした。基板上のCo‐Oの形状はTEM,AFMを用いても未だ観察されておらず、今後、入念な観察が必要である。 3.KCl上のステアリン酸Zn薄膜の光化学分解過程をX線光電子分光およびFTIR‐ATRを用いて調べ、UV光照射により、カルボキシル基のClsピークは消失し、Olsピークは1.5eV低エネルギー側にシフトすることから、炭素鎖は除去されZn‐O結合のみが基板上に残ることが見いだされた。 未だ、微細構造の観察には成功していないが、以上の結果は、本研究の提案する手法を用いて量子ドット、細線の形成の可能性のあることを示唆するものである。
|