1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650375
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 助教授 (40247573)
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Keywords | 誘電・圧電特性 / 正方晶系PZTセラミックス / 分極特性 / 分極電界依存 / 配向分極 / 強誘電体ドメイン / 90°ドメイン / 結晶配向度 |
Research Abstract |
誘電および圧電特性のチタン・ジルコン組成(Ti/Zr)比に対する依存性を明らかにするため、正方晶系組成からなるハード系(High Qm)PZTセラミック材料の分極特性を調べ、配向分極の反転の難易度に関する強誘電体ドメインの挙動を調べた。誘電・圧電特性として比誘電率(εr),径方向振動の電気機械結合係数(Kp)および周波数定数(fcp)の分極電界強度依存を測定した。さらに、分極処理済みのセラミックスのX線回折により結晶配向度の分極電界強度依存について検討した。実験組成はMn添加した0.05Pb(Sn_<1/2>Sb_<1/2>)O_3-yPbTiO_3-zPbZrO_3(y+z=0.95)でy=0.62(典型的な正方晶系組成)およびy=0.50(M.P.B.近傍組成)である。一般的なプロセスで作製された直径14mm,厚さ1mmのセラミック円板を分極電界強度(Ep)を変えながら、分極時間(tp)30min.,分極温度(Tp)80℃の条件で分極処理した。また、セラミックスの結晶配向度の分極電界依存を(002),(200)回折強度より求めた。 誘電・圧電特性の分極電界依存では、εr,KpともEp=±2.0(y=0.62),±1.25kV/mm(y=0.50)で極小値を示した。このことは正方晶系組成では90°ドメインの分極電界による再配列が直接εr,Kpの変化に対応しているものと考えられた。さらに、fcpはEp=-2.25,+2.00kV/mm(y=0.62)および±1.25kV/mm(y=0.50)でそれぞれ極大値を示した。一方、(002)ピークは飽和分極直後はc軸配向のため分極処理前より正方晶系組成で約20%,M.P.B.近傍組成で約10%X線回折強度が増加したが、その後逆方向の電界印加によっては元の強度には戻らなかった。また、正方晶系組成でEpを0→3.5kV/mmと増加し続けるとKpは飽和したが、(002)ピーク強度はさらに増加した。これは結晶配向には寄与するが、Kpには寄与しない90°ドメインの存在を示唆していた。この原因として分極による結晶配向によりセラミックス中に発生した歪みが、Kpの上昇を妨げているものと考えられた。
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