1996 Fiscal Year Annual Research Report
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06650375
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Research Institution | SHIZUOKA INSTITUTE OF SCIENCE & TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 助教授 (40247573)
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Keywords | 菱面体晶PZTセラミックス / 正方晶系PZTセラミックス / 分極特性 / 分極電界依存 / 配向分極 / 強誘電体ドメイン / 90°回転 / 180°回転 |
Research Abstract |
本年度は、正方晶系,菱面体晶系及びM.P.B近傍組成でのPZTセラミックスの分極電界による結晶配向度をX線回折(XRD)で求め、強誘電体セラミックス中のドメインの構造を明らかにした。即ち、結晶配向相対強度,電気機械結合係数(kp),比誘電率(εr)の分極電界依存によりセラミックス内部におけるドメインの挙動を評価し、これらの実測値を我々の仮定したモデル図を用いて検討した。各組成での分極電界による配向強度(I_<002>,I_<222>),結合係数kpが極小値をとる値は異なっていた(正方晶系はE=±2.0KV/mm;菱面体晶系はE=±1.0kV/mm)。この時の電界が抗電界Ecと考えられるので、菱面体晶系の方がEcが小さく、分極し易い材料組成といえる。更に、正方晶系のkpでは分極電界の増加と共にドメインは電界方向に配向(↑↓)する。kpが極小値をとる電界ではI_<002>はkpに比べてほとんど変化がないことから、この時主に180°反転が起こっていると考えられた。即ち、互いにキャンセルしたドメイン状態(↑↓)であり、この結果は菱面体晶系でも同様であった。正方晶系のεrはE=±2.0kV/mmで極小値をとり、kpと同様の挙動が得られた(正方晶系kpの極小値:E=±2.0kV/mm;正方晶系εrの極小値:E=±2.0kV/mm)が、菱面体晶系では異なっていた(菱面体晶系kpの極小値:E=±1.0kV/mm;菱面体晶系εrの極小値:E=±0.5kV/mm)。εrの挙動をドメイン回転から考えると、正方晶系のεrでは180°反転は1回で起こるのでそのP-Eヒステリシス曲線と一致する。一方、kpの極小値はE=±2.0kV/mmで得られ、180°反転電界がこれに相当する。更に、このkpとP-Eヒステリシス曲線から、180°反転が起こるE=±2.0kV/mmでは、180°ドメイン反転によるεrはE=±2.0kV/mmで2つのピークを持つ。次に、90°回転は2回の回転により起こる。即ち、I_<002>はE=±2.0kV/mm付近で若干増減しているので、この電界強度で90°回転が起こる。このI_<002>とP-Eヒステリシス曲線から、90°ドメインのεrは4つのピークを持つ。これら180°ドメイン反転及び90°ドメイン回転によるεrを重ね合わせることにより、全体のεrの分極電界依存が得られ、実測値の電界依存と一致した。一方、菱面体晶系についても同様に説明することが出来た。但し、正方晶系に比べkp自体が大きくないことから180°反転量(180°反転によるεrの変化量)が減り、71°,109°回転のεrのピークの影響を大きく受けていると云えた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Yamada, T.Ogawa M.Takahashi and Y.K.Chung: "Surface Characteristics of Tetragonal RZT Ceramics" Transactions of the Materials Research Society of Japan. 20. 603-606 (1996)
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[Publications] T.Ogawa, A.Yamada M.Takahashi and Y.K.Chung: "Annealing and Aging Characteristics of Tetragonal PZT Ceramic Surface" Proc. of ELECTROCERAMICS (Portugal, Sep. 1996). 1. 177-180 (1996)
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[Publications] A.Yamada, Y.K.Chung M.Takahashi and T.Ogawa: "Poling Field Dependence of Ferroelectric Domains in Tetragonal Lead Zirconate Titanate Ceramics" Jpn. J. Appl. Phys.35. 5232-5235 (1996)
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[Publications] 山田亜矢子,小川敏夫: "強誘電体セラミックス中の90°および180°ドメインの評価" 静岡理工科大学紀要(印刷中). 5. (1996)