1994 Fiscal Year Annual Research Report
イオンアシスト蒸着法による有機薄膜の高次構造制御と光素子への応用研究
Project/Area Number |
06650378
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
京兼 純 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50043469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 生一郎 化学工学科, 教授 (50043477)
高橋 晴雄 電気工学科, 教授 (20043458)
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Keywords | イオンアシスト法 / 有機物質 / 蒸着薄膜 / 金属キノリノール錯体 / トリフェニルジアミン誘導体 / 分子発光素子 / 高次構造制御 |
Research Abstract |
イオンビームアシスト法を用いた有機蒸着膜の創成と、薄膜を発光層とする光(EL)素子の開発という目的で研究を遂行し、本年度に得られた結果を概説すると以下のようになる。 o発光層およびキャリア(ホール)輸送層として探索している各種材料のうち、発光層は金属(Al,Mg,Zn)キノリノール錯体を、ホール輸送層はトリフェニルジアミン(TPD)誘導体を合成した。また、試作素子の発光効率やキャリア輸送効率を高めるため、合成した材料をサブリメション法で純度を上げた。 oイオンビームアシスト法で成膜した各種母材の蒸着薄膜は、イオンの持つ電荷とエネルギーの効果により、分子の高次構造とパッキング密度が向上すると共に、ピンホールの殆ど無い一様で均質な薄膜が形成されていることが明らかとなった。 o発光層およびホール輸送層の最適成膜条件は、イオンビームエネルギーが100eV,イオン電流密度60〜80nA/cm^2のときであり、イオン種はアルゴンよりもむしろ質量の小さい窒素やヘリウムが有効であることが分かった。 o有機発光素子はシングルヘテロの積層構造(ITO/ホール輸送層/発光層/金属電極)とし、熱蒸着法およびイオンビームアシスト蒸着法で試作し、両者の比較実験を行った。 o発光強度は熱蒸着法に比べ、イオンビームアシスト蒸着法の場合が飛躍的に増加し、特にヘリウムイオンアを照射して試作したEL素子の発光効率が著しく増加していることが明らかとなった。これはアシスト蒸着時に各種母材薄膜の膜質の向上と同時に、多層膜間での密着性と一様性が促進され、結果として大きい発光強度を示したものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 京兼 純・吉野 勝美: "イオンアシスト蒸着法による有機薄膜の電気・電子素子への応用" 第5回粒子線の先端的応用 術に関するシンポジウム. 5. 133-136 (1994)
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[Publications] 京兼 純・谷口 巧等: "イオンビームアシスト蒸着法による導電性有機薄膜を用いた電気素子の研究" 電気学会論文誌C. 114-C. 1095-1100 (1994)
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[Publications] 京兼 純・吉野 勝美等: "Conducting organic thin films by ion-assisted evaporation and their application to electronic devices and Components" Synthetic Metals. 58(発表予定). (1995)