1995 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜太陽電池の実負荷寿命評価と劣化モデリングの研究
Project/Area Number |
06650391
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
権丈 淳 九州大学, 工学部, 助手 (20037899)
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Keywords | アモルファスシリコン太陽電池 / 太陽電池の寿命評価 / ソーラーシステム / 太陽光エネルギー / 発電コスト / 無公害エネルギー |
Research Abstract |
本研究では、主としてアモルファスシリコンの太陽電池モジュールを対象として,実動作環境下での劣化ならびに寿命決定要因を定量的に把持し,システム設計に反映させる方策を探るとともに,長期にわたる劣化現象のモデリング手法を確立して最適システム運用,寿命予測、劣化防止等のために有用な太陽電池モジュールの評価指針を明らかにする計画である。 平成6年度(初年度)においては精密全天日射計(MS-801),温湿度センサ(HS151)とデータ収集のために長期測定用のデータロガー(LS-3000PtV)を導入した。太陽電池の性能評価に重要なパラメータとなる太陽光到達エネルギーの長期にわたる計測システムができ、観測を始めた。 平成7年度は太陽電池の実動作環境における性能および寿命評価をするため、太陽電池パネル(Si多結晶:500W)とソーラー用インバータ-を設置した。実負荷としては年間を通して一定負荷変動幅がある冷暖房エアコンを用い、商用電源と併用した。太陽電池の余剰電力は小さく、また簡素化のため蓄電池は省いた。 電力用の大型アモルファスシリコン太陽電池モジュールはまだ多くは生産されていない。また、アモルファスシリコン太陽電池だけで500W程度の規模とするにはモジュールの占有面積が広くなり、設置が困難であった。従って、上記の多結晶太陽電池モジュールで冷暖房エアコンを起動して、別にアモルファス電池と小模擬負荷を組み合わせ、エアコンの長期間の負荷状態(天候等)によって変化する多結晶モジュールの出力を検出し、その量と比例するようにアモルファス電池側の負荷をコントロールした。 これによって、小規模であるがアモルファス太陽電池の実負荷時の性能、寿命評価のための観測が可能となった。 アモルファス太陽電池は単結晶および多結晶の太陽電池と比較して寿命が短く、早いものは3年程度で使用限界まで劣化する。初期劣化現象や太陽光中の高エネルギー成分の照射が主な原因とされている。 また、外気温度等の気象条件等も原因となる。 最低期間3年以上の日射量等の気象データおよび太陽電池の出力データを観測して、期間内にも随時、システム設計に役に立つ結果を報告する予定である。
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