1994 Fiscal Year Annual Research Report
シャノン暗号システムにおけるレート歪理論に関する研究
Project/Area Number |
06650399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博資 東京大学, 工学部, 助教授 (30136212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有本 卓 東京大学, 工学部, 教授 (00029399)
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Keywords | シャノン理論 / 暗号 / 符号化定理 / レイト・歪理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,シャノン暗号システムにおいて新しい基準システムの安全性を測る場合に対する符号化定理を証明することである。新しい安全基準としては,従来用いられていた伝送情報に対する盗聴者のあいまいさ(条件付きエントロピー)ではなく,盗聴者が暗号文から復元可能な最小歪で情報の安全性を測るものである。この観点から,本研究はレート歪み理論と密接に関連しており,本研究をレート歪み理論の新しい拡張とみなすこともできる。 本年度は,まずシャノン暗号システムに対して既に証明されている符号化定理,およびレイト歪み理論に関する従来の符号化定理を詳細に検討し,本問題に対して証明をどのように構成すべきかを検討した後,証明を試みた。その結果,下記の場合に対する符号化定理の証明がほぼ完成した。 1.伝送される情報に歪みを許し,安全性を盗聴者のあいまいさで評価する場合。 2.伝送される情報に歪みを許し,かつ安全性も盗聴者が達成可能な最小歪みで評価する場合。 3.情報源が離散情報源ではなく,連続値をとる情報源の場合。 また,上記で証明した符号化定理が,従来知られている理論結果(通常のレート歪み理論,通常のシャノン暗号システムに対する符号化理論,秘密情報を伴う情報源に対するレート歪み理論など)と矛盾していないこと,つまり従来の符号化定理を含んだより一般的な符号化定理になっていることを確認した。
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