Research Abstract |
本研究では,脳波情報処理に基づく,睡眠レベル,覚醒レベルを含めた生体活性レベルの識別同定手法を確立することを目的として,(1)覚醒時脳波データ採取システムの開発,(2)脳波信号のモデルベース解析,(3)脳波信号のニューラルネットニヨル解析,等に関して研究を進め,以下の研究成果を得た. (1)覚醒時脳波データの採取システムの開発 本研究経費で購入した生体用アンプを利用して,パソコンによる覚醒時の脳波データ採取システムの開発を行ない,音刺激に対してボタン押しを義務づけた脳波計測システムを構築し,バッチ処理ではあるが,平均加算をとることにより事象関連電位が導出できることを確認した. (2)信号伝達系を表す物理モデルに関する検討 入力インパルス系列として,振幅遷移過程を考慮に入れたモデルを考え,入力検出の手法として,既存のMAPアルゴリズムを修正した新たなアルゴリズムを提案し,これを実測脳波に適用して,波形パタンと検出された入力インパルス系列の間に相関があることを確認した.更に,これまで同様な波形パタンであるとされてきたStage REMとStage 1,2における脳波波形に対して,抽出されたインパルス系列に関する遷移確率に差異が見つけられる等,新たな情報を抽出できることも確認した. (3)ニューラルネットワーク・モデルに関する検討 通常の階層型ニューラルネットワークを脳波時系列データの予測器として,睡眠脳波波形の代表的な波形パタンであるα波,δ波,低振幅速波に対して学習を行わせたところ,ニューラルネットの出力(予測値)に関する誤差において,自乗ノルムではなく,無限大ノルム(誤差最大値)を評価することによって,通常の統計的パタン認識手法と同様な精度のパタン認識を実行し得ることを確認した. 今後,上述の物理モデルならびにニューラルネットワーク・モデルに関しては,より多くの実測脳波データに適用して,詳細な適応度の評価を行う予定でり,また,脳波の非定常生の数量化とそれらに基づく特徴抽出をはかるため,非定常性の数量的評価方法に関して,種々検討を進めて行く予定である.
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