1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650481
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Research Institution | TOYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井内 徹 東洋大学, 工学部, 教授 (20232142)
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Keywords | 放射測温 / 放射率 / 温度計測 / 黒体放射 / 迷光雑音 / 光センサ / 赤外線 |
Research Abstract |
前年度に大気中での実験システム(受光光学システム)が完成し研究遂行に供し得たので、今年度は雰囲気調整可能な加熱炉を製作した。雰囲気調整下で金属酸化膜成長を制御しながら、実験遂行が可能となり、本研究に関連する多くの知見成果を得た。また、実験結果から興味ある新たな研究課題も浮上してきた。以下、当該年度の研究成果を分類して報告する。 [雰囲気調整加熱炉の製作] 金属表面の酸化膜の生成を制御し、金属の放射率を精密に測定するための雰囲気調整加熱炉を試作した。試料はチャンバー内で加熱され、雰囲気を真空、還元ガス、大気にしてそれぞれ無酸化状態、還元状態、酸化膜生成状態における金属の放射率特性を前年度製作の受光光学システムと組み合わせて測定できるようになった。 [知見・成果] 常温付近の放射測温法の対象として、金属を取り上げた。酸化していない金属は低放射率であって、放射測温の観点からきわめて困難な測定対象であるが、試料法線から角度80°方向の放射率は垂直方向の放射率の3倍前後大きいことを確認し、またその方向で試料がきわめて鏡面的反射特性を示すこと、また酸化の進行に伴う放射率変化が小さいことが判明した。さらに、検出光学系に関する実験的、理論的考察から、常温付近の測定では光学系の匡体自体、特に内蔵の回転チョッパの温度変化が測定誤差に大きな影響を与えることが分かった。これらの知見を基に、平成7年度は、外国論文誌に1件論文投稿し受理された。国内の関連学会で計8件の口頭発表をおこなった。 [今後の展開] 金属を対象として本研究の実用化を推進すること。また、派生的に得られた多くの知見、特に偏光放射率に着目した新しい放射測温法のアイデアを研究対象として検討していくこと、放射率の方向依存性に関する豊富な実験結果から放射率と酸化膜厚の同時測定法の検討などを実行すること。
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[Publications] Tohru IUCHI: "New Radiation Thermometer for Near Room Temperature" Measurement, J. of the International Measurement Confederation. 16. 257-263 (1995)
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[Publications] 鶴川屋 智之: "放射率の角度依存性を利用した新放射測温法" 第34回SICE学術講演会. 212A-3. 647-648 (1995)
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[Publications] 山本 広幸: "ゴニオフォトメータの試作とその放射測温への応用" 第34回SICE学術講演会. 301A-3. 757-758 (1995)
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[Publications] 鶴川屋 智之: "放射率比変化を補正する新しい放射測温法" 第12回センシングフォーラム. 3-6. 79-84 (1995)
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[Publications] 古川 徹: "ゴニオフォトメータによる金属並びに金属酸化面の反射分布" 第38回自動制御連合講演会講演会. 4019. 435-436 (1995)
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[Publications] 古川 徹: "放射率の精密測定装置の開発とその応用" 第39回東洋大学工業技術研究所講演会. 21-22 (1996)
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[Publications] 鶴川屋 智之: "放射率と酸化膜成長の同時測定法" 第43回応用物理学関係連合講演会. B5. (1996)
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[Publications] 古川 徹: "雰囲気調整加熱炉による放射率の精密測定" 第43回応用物理学関係連合講演会. B6. (1996)
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[Publications] 古川 徹: "赤外ゴニオフォトメータの開発とその応用" 第43回応用物理学関係連合講演会. B7. (1996)