1994 Fiscal Year Annual Research Report
生体内の複素誘電率の3次元再構成と高速処理に関する研究
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06650487
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Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
原田 治行 日本文理大学, 工学部, 講師 (80192285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 充 大分大学, 工学部, 教授 (30091341)
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Keywords | 逆散乱問題 / 3次元問題 / 最適化問題 / 非線形汎関数 / 共役勾配法 / 電磁界理論 |
Research Abstract |
本研究では、非線形の3次元逆散乱問題を媒質定数に関係した評価関数を最小にする非線形最適化問題に帰着させて解く再構成アルゴリズムを以下の手順で開発した.さらに,再構成アルゴリズムの高速化について検討した. まず,散乱界の測定データから得られた散乱パターンベクトルと,推定した物体の誘電率分布を用いてベクトル波動方程式から理論的に求めた散乱パターンベクトルとの差の絶対値の2乗和により与えられる汎関数を定義した.次に,共役勾配法を適用して汎関数を最小にするアルゴリズムを定式化するために,汎関数の勾配をフレシェ微分により求めた.複素誘電率を持った3次元の不均質性の強散乱体に対して数値計算を行なった結果,高精度の再構成像が得られた. 本アルゴリズムでは,各反復過程においてカンマ入射波と推定した物体の誘電率分布から物体内部の全電界を連立一次方程式を解いて求める必要がある.ガウスの消去法などの直接解法では,散乱体を囲む立方体の格子点の数が多くなれば,大容量の計算機メモリを必要とし,計算量も非常に多くなる.しかし,反復解法の一つであるFFT-CG法を用いれば,メモリを大幅に節減できて,かつ計算量も少なくなることが知られている.ところが,逆散乱問題では,多方向から照射する各入射波にたいして,それぞれ,連立一次方程式を解く必要がある.この場合,ガウスの消去法では一度係数行列の逆行列を計算すれば,次の入射波に対する解は逆行列と入射波に関係した列ベクトルの積で求められる.一方,FFT-CG法では,各入射波に対して連立一次方程式を解く必要がある.従って,入射波の数が増えれば,総計算時間はFFT-CG法の方がかかることが判明した. 今後の課題は,FFT-CG法をさらに高速にするために,適切な初期値を選定する手法や,計算機ネットワークシステムで各入射波に対する連立一次方程式を並列に計算する手法を開発することである.
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Research Products
(2 results)