1994 Fiscal Year Annual Research Report
集成材主桁とプレストレス木床版を合成した合成桁橋に関する研究
Project/Area Number |
06650510
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
長谷部 薫 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (50113907)
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Keywords | プレストレス / 木床版 / 集成材 / 合成桁 / 直交異方性 |
Research Abstract |
実際に架設されている、杉とから松の複合集成材ラミナを主構造材としたプレストレス木床版橋を対象として、架設時に与えたプレストレス鋼棒の緊張力の経時変化を測定し、また、木部の含水率の経時変化を測定した。さらに、架設時に行った載荷試験で用いたトラックと同じ15tfのトラックをプレストレス木床版橋上に静止させ、支間中央のたわみを測定した。得られた結果は次のとおりである。1.プレストレス鋼棒の緊張力の1年間の経時変化は、支点付近の床版端部で初期プレストレス力の0.86から1.08まで増減し、また、支間中央部では0.95から1.05まで増減した。プレストレス木床版は、設計プレストレス力の60%が鋼棒の応力緩和により失われるものとして設計されるが、1年間における実橋のプレストレス損失は、床版端部で14%、支間中央で5%であり大きな損失は見られなかった。これは、木材の含水率が架設時の平均11%から1年間で13〜16%へ増加したことにより木材の体積が増加し、プレストレス力の大幅な低下が避けられたと考えられる。2.架設時に行った現場実験結果と比較するために、架設時から1年後、トラックの前輪と後輪をプレストレス木床版橋の支間中央部に静止させ、支間中央のたわみを測定した。幅員中央に対して対称載荷の場合、載荷点で架設時のたわみより7〜14%小さな値が得られ、偏心載荷の場合6〜23%小さい値が得られた。これは、上記のように大きなプレストレス力損失が見られなかったために、直交異方性平板として挙動するのに必要なプレストレス力による木部の圧縮応力を保持しているためと考えられる。これより、プレストレス木床版を直交異方性平板とみなして設計するには、必要とされる最小の木部の圧縮応力を明らかにすることが今後の課題である。
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