1995 Fiscal Year Annual Research Report
道路橋振動アクティブ制御のための各種制御則の適用性と有効性の実験的検討
Project/Area Number |
06650525
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡林 隆敏 長崎大学, 工学部, 助教授 (90039686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 浩 長崎大学, 工学部, 助教授 (20157324)
高橋 和雄 長崎大学, 工学部, 教授 (30039680)
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Keywords | 橋梁振動 / 道路環境 / 振動制御 / アクティブ制御 / 制御則 |
Research Abstract |
都市高速道路では,交通荷重による道路橋振動に起因する,地盤振動が住民に及ぼす影響が重大な問題になっている.本研究は,このような道路橋の振動をアクティブ制御する技術を確立するために行ったものである. 道路橋の振動をアクティブ制御するためには、次のような問題を解決する必要がある. (1)振動制御を行うための情報として、橋梁の振動から車両の振動性状を予測する. (2)車両走行により,橋梁の振動形状が変化する非定常性を考慮した制御則を見いだすこと. (3)橋梁の振動を制御するための力を発生させる,アクチュエータを開発すること. これらの目的について,本研究で得られた結果は,次のように要約することができる. (1)カルマンフィルターによる状態量の予測 カルマンフィルターを用いることにより,1点の観測量から,橋梁の状態量および車両の状態量の推定が可能になった.最適レギュレータ理論とこの結果を組み合わせることにより、確率的制御理論による制御則が確立できた. (2)システムの非定常性を考慮した制御則 本研究では,瞬時最適化制御則を拡張し,非定常システムに対応した新しい制御則を確立した.数値シミュレーションにより,この制御則が有効であることを確認した. (3)振動制御用アクチュエータの開発と振動制御実験 橋梁の振動制御用のアクチュエータの試作を行った.このアクチュエータにより歩道橋の振動制御実験を行い,その有効性を確認した.しかし,道路橋の実験を実施するまでには至っていない. 本研究の主要な目的である道路橋振動制御の各種制御則を比較し,新しい制御則を確立することについては,当初の目的を達成することができた.しかし,実用化実験については,アクチュエータの試作は行ったが,制作予算の都合もあり,道路橋の実験には至っていない.しかし,本研究の成果は,この分野の研究において,大きなインパクトを及ぼすものであると考えている.
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[Publications] 岡林 隆敏: "塔状構造物のアクティブ振動制御へのH^∞制御理論の適用" 構造工学論文集. 40A. 927-934 (1994)
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[Publications] 岡林 隆敏: "未知入力オブザーバーを用いた多自由度系構造物の振動制御" 第4回「運動と振動の制御」講演会論文集. 95-28. 267-270 (1995)
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[Publications] 岡林 隆敏: "カルマンフィルタによる道路橋交通振動の状態推定" 第3回振動制御コロキウム論文集. PARTB. 25-32 (1995)
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[Publications] 岡林 隆敏: "橋梁交通振動のパッシブ制御とアクティブ制御" 橋梁交通振動コロキウム論文集. 121-132 (1995)
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[Publications] 岡林 隆敏: "走行車両による単純桁橋振動のカルマンフイルタによる状態推定" 構造工学論文集. 42A(4月掲載予定). (1996)
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[Publications] 岡林 隆敏: "各種フィードバック制御則による道路橋交通振動のアクティブ制御" 構造工学論文集. 42A(4月掲載予定). (1996)