1995 Fiscal Year Annual Research Report
熱と水分の移動に伴う不飽和土中の溶解性汚染物質の輸送構造
Project/Area Number |
06650535
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
佐藤 健 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80135326)
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Keywords | 地下水汚染 / 溶解性物質 / 熱移動 / 水分移動 / 溶質輸送 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、高さ16.8cm、内径4.9cmの円筒カラムを用いた溶質輸送実験を行った。カラム上端の加熱、下端からの溶質吸い上げ後に、上端からの散水による溶質輸送を主に検討した。本年度の成果として、 1)加熱によって、カラム上端の溶質の蓄積現象が濃度増として確認された。溶質の実質的な質量は加熱の有無でそれほど変わらない。溶質の輸送媒体が液状水で、濃度増はカラム上端での蒸発による液状水の減少の結果と推察された。 2)非常に弱い散水によって、カラム各部に蓄積した溶質は下方に輸送される。散水前の加熱の有無の違いが確認された。加熱した場合は、初期濃度(散水開始時点)を越えた濃度増が各カラムで、時間遅れを伴いつつ、順次観察された。加熱しない場合は、散水後、各カラムとも初期濃度を超えることなく濃度減少する。 熱・水分移動場における溶質輸送モデルを開発して、実験をシミュレートした。計算の効率化を計るため、オイラー法とラグランジェ法を交互使用した。この計算から、 1)実験における加熱の有無による濃度分布の違いが、計算でよく再現され、移流項の計算精度を上げることによって、全体の精度向上を図ることができることを確認した。 2)等温条件、非排水・非排気条件での計算を行った。解析解との比較から、モデルの改良すべき点を次のように指摘した。 (1)ラグランジェ積分を精度よく行うには、移動節点の内挿法の精度向上が必要である。 (2)温度勾配の影響を溶質輸送に反映させるには、蒸発率の的確な推定が必要である。
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[Publications] 棚橋秀行: "空気吸引カラムにおける砂層中の分散現象" 土木学会論文集. 第511号. 127-134 (1995)
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[Publications] T.Sato: "Adsorption and dispension characteristics within unsaturated zone" Proc. of the 1st Conf. on Unsaturated Soil. Vol. 2. 561-566 (1995)
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[Publications] 佐藤健: "西濃地域における揖斐川流域からの地下水涵養の貢献" 地下水技術. Vol. 37. 41-51 (1995)