1994 Fiscal Year Annual Research Report
ライフサイクルエネルギーを最小化する都市水循環システムの構成と最適規模化
Project/Area Number |
06650601
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 和夫 東京大学, 工学部, 助教授 (60143393)
|
Keywords | 都市水循環 / ライフサイクルエネルギー / 雨水浸透 / 中水道 / 地下水利用 / 開放循環利用 / 水システム / 最適規模 |
Research Abstract |
本研究は、ライフサイクルエネルギーを最小化する水循環利用形態(処理水再利用や雨水利用・雨水浸透・地下水利用等の組み合わせ)を見出すことを目的とし、主として多摩川流域を対象としたケーススタディを行った。主要な結果を以下に示す。(1)下水処理水の間接的再利用となる河川水循環利用が、一過型の水システム、雨水浸透、下水処理水を利用する様々な規模の中水道等と比較して、ライフサイクルエネルギーを最小化する水循環利用形態であった。河川水循環利用を行うことによって、流域の水使用量の43%にあたる大きな水資源開発効果を有すること、多摩川の水環境に関しては必ずしも優位性を示すものではないが、導水元河川の水環境も併せて考えれば、河川水循環利用は今後真剣に検討するに値する水循環形態である。(2)雨水浸透システムでもライフサイクルエネルギーは比較的小さい。河川の水質改善効果は大きいので河川水循環利用と組み合わせることにより、流域の自給率も上がり合理的な水システムを構成できる。雨水浸透を浸透桝に限り、透水性舗装をやめればライフサイクルエネルギーはさらに小さくなる。地下水利用も有望である。(3)各戸までを対象とする大規模広域中水道は、用途を水洗便所用水に限っても中水転換率19%と大きな水資源効果を持ち河川水質改善にも寄与するが、延床面積5000m^2以上を対象とした個別規模水循環システム導入の場合と同じく、ライフサイクルエネルギーは大きくなる。延床面積20000m^2以上の事務所に限定すればライフサイクルエネルギーは抑えられるが、その場合中水転換率はわずかで流域としての水資源開発効果をもたらさない。以上まとめると、下水処理水の間接的再利用となる河川水循環利用を中心にして、雨水浸透桝による地下水涵養、地下水利用、事務所ビルへの中水道の広域化等を組み合わせることより、流域の自給率を上げかつライフサイクルエネルギーを低く抑えることのできる水システムを構成できることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)