Research Abstract |
1.地球温暖化シナリオとして,降水量変動(-10%,0%,+10%),気温変動(1℃,2℃,3℃,4℃)の組み合わせで,富山県内を流れる3つの河川を対象に,流出モデルを作成し検討した。 (1)温暖化の影響は,流域特性により流域毎に微妙に変化し、融雪流出期が半月から2ケ月程度早期化する。 (2)温暖化により,夏季から秋季にかけては降水量と蒸発散量の変化分が流出に反映されていくが,融雪期よりも影響は小さく,11,12月は降水量に占める降雪量の減少分が流出を増加させる要因となる。 (3)平均気温の変化が3℃以上,降水量変化10%となると流出量変化が1〜3月にかけ数10%以上となり顕著となる。 2.富山県内の一河川(庄川水系,和田川)において,降雪期を含む12月〜1月にかけて,水文,水質調査を行った。(調査項目は,流量,降水量,電気伝導度,水温,COD,N,P,SS等)電気伝導度は流量と負の相関があり(相関係数R=0.826),直接流出成分ではほぼ130(μS/cm)以下で,地中流成分に比べ低く値を示した。また、電気伝導度負荷量については流量と非常に高い相関が認められた。(EC・Q=aQ^b;相関係数R=0.999,EC=電気伝導度,Q=流量,a,b,係数)流出成分毎,融雪流出分,また他の水質項目などの解析については現在検討中である。 3.全国一級河川,富山県内の27河川,また富山県内農村域の小河川の水質資料等(SS,DO,COD,BOD,Chl.a,pH,水温,流量等)と降雪量の関係について統計的に検討した。降・積雪量の増大は,融雪流出量の増大となり,水質に対しては希釈効果と,負荷量の増大となり現出する。SSについては,融雪期に濃度が増大する河川がある。降・積雪の影響は河川水温に影響し,これがDOの変化,河川水中の生物活性に影響していると考えられる。また,河川のpHが経年的に増加傾向にあり,この中で降・積雪量の増大は,pHを低下させる傾向がある。
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