Research Abstract |
1.全国一級河川の水質資料,流量の関係について統計的に検討した。温暖化の影響は,積雪,融雪期に大きいことから,全国を積雪の多少により,4地域に分割し,多雪年(1981年)と少雪年(1990年)の水質,水質負荷量を比較検討した。多雪年には,積雪地域河川は融雪期の負荷量の増大は,非常に顕著になる。この資料を基に,地球温暖化シナリオとして,降水量変動(-10%,0%,+10%),気温変動(1℃,2℃,3℃)の組み合わせで,富山県内を流れる河川を対象に,前年に作成した流出モデルにより,BOD負荷量の流出シミュレーションを行った。その結果,降水量変動(+10%),気温変動(+3℃)の状況で,BOD負荷量は12〜2月に2〜5倍になり,春期は数10%減少し,その他の季節は比較的変化がないことなどの結果がえられた。 2.富山県内の一河川(庄川水系,和田川)において,1994年12月,1995年1月,4月,7月に,水文,水質調査を行った。電気伝導度を中心に解析を試みた。電気伝導度は流量と負の相関があり,各流出成分で,異なる値をとることが推察された。また,電気伝導度負荷量については流量と相関係数が0.98以上の非常に高い相関が認められた。(EC・Q=aQ^b;EC=電気電伝導度,Q=流量,a,b:係数)その結果,タンクモデルを基にした流出モデルにより,流出成分毎に電気伝導度を一定として,河川の電気伝導度の変動のシミュレーションが可能であった。 3.気候変動と人間活動の関係を検討するため,一般家庭のごみ排出量と気候の関係に注目した。特に豪雪地方では温暖化の影響が冬季で顕著であることが考えられるため,富山県内の3都市の冬季の気温,積雪量とごみ排出量の関係について検討した。多雪年も含んだ高岡市の資料では,冬季ごみ量は,冬季気温(12〜3月の平均気温),累積積雪量とそれぞれ,正の相関,負の相関が見られた。
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