1995 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的排水処理プロセスにおける溶解性代謝物の化学的構成成分と反応器内での挙動
Project/Area Number |
06650614
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Research Institution | Nagaoka College of Technology |
Principal Investigator |
田中 一浩 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助手 (40259841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 信夫 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (30193072)
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Keywords | 排水処理 / 処理水質 / 細胞外代謝物 / ゲルクロマトグラフィー / 生物膜 |
Research Abstract |
本研究は、水理学的滞留時間を0.5,2,8日に設定した3系列ケモスタット型反応器及び有効容積1.4Lのループ循環型反応器(0.5mmの粒状活性炭を付着担体とする)に、フェノールを単一エネルギー源とした模擬排水(COD濃度714mg/L)を用いてフェノール分解菌の培養を行い、プロセス内で生成する細胞外代謝産物(ECP)の構成成分の化学的性質について検討した。 1.ケモスタットの運転状況と代謝物の生成動力学 処理水中の蓄積ECP濃度は、0.45μm孔メンブランフィルターを通過するフェノール以外のCOD成分とした。3系列のケモスタットとも処理水中にはフェノールは検出されず、除去率は100%であった。処理水中に蓄積したECP濃度は3系列の反応器とも80〜83mg/Lであり、滞留時間(有機物負荷)に対するECP蓄積量には変化が認められなかった。そこで、代謝物生成動力学の構築を試みる前段階として、培養SRT条件の変化によるECPの構成成分の違いをゲル浸透クロマトグラフィー(セファロースCL-2B(分画範囲7×10^4〜4×10^7)とバイオゲルP-60(3×10^3〜6×10^5)を連結)を用いて試みた。 2.ECPの構成成分の検討 フェノール分解菌の分泌するECPは、培養SRTの違いにより構成成分が異なった。ECPは、CL-2Bでは緩やかなピークを持つ比較的分子量の大きい第1画分と鋭いピークを持つ分子量の小さい第2画分の2つの成分に分画できた。第1画分は多糖を多く含み、SRTが小さい条件で占める割合が大きくなる。逆にSRTが大きくなると220nm吸光度が上昇し、不飽和結合を持つ有機物(細胞成分の代謝によって生成する)が含まれる割合が急激に上昇した。CL-2Bで得られた第2画分をバイオゲルP-60で再分画を試みた結果、さらに2つの画分に分離できた。この2つのうち低分子画分は、蛋白質を多く含む成分であり、SRT条件が小さくなるにつれて糖/蛋白比が0.4(HRT=0.5日)〜0.87(HRT=8日)に大きく変化した。また、ループ循環型反応器の流出水中のECPは、ケモスタットのHRT=8日に類似した分画結果が得られた。
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