1995 Fiscal Year Annual Research Report
構造物の耐風性能評価に及ぼす風速の収束域効果に関する実験的研究
Project/Area Number |
06650637
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
前田 潤滋 九州大学, 工学部, 助教授 (40128088)
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Keywords | 自然風 / 風洞実験 / 乱流構造 / 成層格子 / 乱流スペクトル / 乱れの強さ / 乱れのスケール |
Research Abstract |
本年度は,90mm×37mmの開口部を鉛直方向に30個,水平方向に10個の計300個配置した成層格子による一様分布風速場と直線勾配を持つ風速場の風速3成分の乱流特性を検討し,以下の点を明らかにした.使用した風洞装置は,九州大学工学部建設学科エッフェル型吸込式風洞装置である。なお,測定部断面寸法は1.5m×1.5m,測定位置は格子下流1,500mmである。 1.成層格子の開口部を全て全開にした状態での平均風速分布は以下のようになった。 (1)縦成分(平均流方向成分)は一様分布である。実験には風速15m/sを用した。 (2)鉛直および水平横成分の平均値はほぼゼロの一定分布である。 2.成層格子の開口部を全て全開にした状態での乱流特性は以下のようになった。 (1)縦成分,鉛直および水平横成分の乱れの強さの比は1.0:0.9:0.7となった。 (2)縦成分,鉛直および水平横成分の乱れのスケール比は2:1:1となった。 (3)パワースペクトル形状は,測定断面内壁面付近の15cm以内を除いて,3成分ともほぼ,等方性乱流理論でのカルマンスペクトルに一致する。 3.開口部を調整して,直線勾配の風速分布とした状態での平均風速分布は以下のようになった。 (1)縦成分(平均流方向成分)は測定断面内の中央部1/3の領域内で直線分布の風速勾配を示す。 (2)このとき,鉛直および水平横成分の平均値はほぼゼロの一定分布である。 4.直線勾配の風速分布とした状態での乱流特性は以下のようになった。 (1)縦横3成分とも乱れの強さは,直線勾配を示すが,縦成分がもっとも顕著な直線変化を示した。 (2)乱れのスケールは3成分とも一様分布時より大きい。 (3)平均風速の直線勾配範囲の約半分の領域では,3成分とも乱れスケールは風速値に比例して大きくなるが,縦成分がもっとも顕著である。 (4)乱流スペクトルは,3成分とも縦成分に似た形状を示した。
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[Publications] 前田 潤滋: "成層格子によって生成された風洞風速場の乱流特性について二,三の考察" 日本建築学会第10回中国・九州支部合同研究報告構造系. 10. (1996)
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[Publications] 前田 潤滋: "広域高密度風観測データの風速分布表現方法に関する研究" 日本建築学会第10回中国・九州支部合同研究報告構造系. 10. (1996)
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[Publications] 前田 潤滋: "瞬間風速の評価時間が突風率に及ぼす影響に関する二,三の考察" 日本建築学会第10回中国・九州支部合同研究報告構造系. 10. (1996)
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[Publications] 前田 潤滋: "風荷重を想定した送電鉄塔の変形性状に関する研究" 日本建築学会第10回中国・九州支部合同研究報告構造系. 10. (1996)
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[Publications] 前田 潤滋: "広域高密度風観測システムによる風速分布のモニタリングと風況特性に及ぼすマクロ地形の影響に関する考察" 日本風工学会. 66. 45-52 (1996)