1995 Fiscal Year Annual Research Report
オ-ディトリウムにおけるバルコニー下部空間の音響設計法に関する研究
Project/Area Number |
06650657
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤本 一壽 九州大学, 工学部, 助教授 (90112309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 浩 九州大学, 工学部, 講師 (00238700)
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Keywords | 室内音響 / バルコニー下部 / 音に包まれた感じ / コンピュータシミュレーション / 音響心理実験 / 初期反射音 / 音響設計指針 |
Research Abstract |
オ-ディトリウムにおけるバルコニー下部空間は“低温がこもる"“窓を通して聴いているような感じがする"“響きが足りない"というように定性的には好ましくない音場といわれているが、バルコニー下部空間の音響性状をバルコニー形態との関連性から捉えたデータはほとんど見あたらず、またバルコニーを設け場合にどのような形態にすればよいかの音響設計指針もない。そこで、本研究はオ-ディトリウムにおけるバルコニー下部空間の音響特性を明らかにし、バルコニーを設置する際の設計指針を得ようとするものである。 研究の初年度(平成6年度)は、オ-ディトリウムのバルコニー下の音場を把持するために、実際の5つのホールにおいて初期反射音の方向情報に着目した音響測定を行い、バルコニー下部では、客席主空間に比べて上方からの初期反射音が著しく少ないことを示すとともに、バルコニー下で実測したインパルス反応をシミュレートして作成した刺激音(音楽信号)を用いた音響心理実験を実施して、上方から到来する初期反射音が少なくなると「音に包まれた感じ」が阻害されることを検証した。 本年度(平成7年度)は、音場の聴感印象が阻害されないためには、上方からの初期反射音の割合の低下はどの程度まで許されるかを明らかにするために、さらに音響心理実験を実施して「音に包まれた感じ」の弁別閾を測定した。さらに、3つの基本形態のオ-ディトリウムについて、バルコニー形態と初期反射音特性(主に方向特性)との関連をコンピュータシミュレーションによって検討した。そして、音響心理実験から得られた「音に包まれた感じ」の弁別閾をコンピュータシミュレーションの結果から導出された初期反射音特性とバルコニー形態の関係に適用することによって、バルコニー下でも客席主空間における「音に包まれた感じ」と同様の聴感印象を得るためのバルコニーの形態は、奥行きが高さの0.7倍程度以下でなければならないという結論を得た。
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[Publications] 古屋浩: "Effect of early reflections from upside on auditory envelopment" Journal of Acoustical Society of Japan (E). Vol. 16. 97-104 (1995)
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[Publications] 竹島義人: "オ-ディトリウムにおけるバルコニー下部空間の初期反射音特性" 日本建築学会九州支部研究報告. 第35号. 53-56 (1995)
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[Publications] 竹島義人: "上方からの初期反射音が空間的印象に与える影響" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 環境工学. 69-70 (1995)
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[Publications] 古屋浩: "上方からの初期反射音による音に包まれた感じの弁別閾" 日本音響学会講演論文集. 秋. 791-792 (1995)
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[Publications] 古屋浩: "上方からの初期反射音が空間的印象に与える影響" 日本音響学会建築音響研究会. AA96-9. 1-7 (1995)
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[Publications] 豊村敦: "オ-ディトリウムのバルコニー形態と初期反射音特性(その1)室内音響諸量の解析結果" 日本建築学会中国・九州支部研究報告. 第10号. 53-56 (1996)
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[Publications] 竹島義人: "オ-ディトリウムのバルコニー形態と初期反射音特性(その2)初期反射音の方向特性" 日本建築学会中国・九州支部研究報告. 第10号. 57-60 (1996)
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[Publications] 古屋浩: "オ-ディトリウムのバルコニー形態と初期反射音特性" 九州大学工学集報. 第69巻第3号(印刷中). (1996)