1994 Fiscal Year Annual Research Report
月桃(ゲットウ)の繊維を利用した紙の建築的利用に関する研究
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06650660
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森田 大 琉球大学, 工学部, 教授 (50128500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡嘉敷 健 琉球大学, 工学部, 助手 (80253946)
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Keywords | シートマシーン / 月桃繊維 / 耐折強度 / 叩解 / 抗菌性 / 月桃精油 / ダニ / アルタナリア菌 |
Research Abstract |
平成7年度までの継続研究であるが,初年度である平成6年度の研究成果の一応のまとめとして,以下の知見が得られた。 まず,月桃繊維は叩解を入念に行わない限り,抄紙サンプルの個別差がかなり大きくなる。即ち,苛性ソーダによる煮熟条件の変動よりも,叩解による表面の繊維状態によって強度の値がかなり変動する。このことは耐折強度測定(引張荷重1kg)でサンプル紙厚が170ミクロンと50ミクロンの場合,それぞれ平均5,340,880となったが,170ミクロンのケースでは最小値2,460,最大値13,900で5倍の開きが生じた。50ミクロンのケースでは25倍の開きがある。耐折強度は建材用途という本研究の目的からみてその耐久性の一つの目安となると考えられるが,以上のことから月桃繊維の叩解条件は強度の均一な品質保持の上で重要と考えられる。 次に,南大東島産月桃の精油を用いた防虫・抗菌力の検討を行ったが,まずケナガコナダニ(100匹)を対象とする実験として,直径5.8cmの円形ろ紙に月桃精油を含浸させ(エタノールに溶解)約3時間乾燥したのち,ろ紙を半分に折り,ろ紙の中にケナガコナダニを入れ,さらに室温,湿度75%に24時間放置した。その結果は濃度4%で死亡率100%,2%で95%となった。なお対照ろ紙(0%濃度)では3%の死亡率であった。また抗菌力についてはアルタナリア菌(alternaria)に対し抗菌活性++ (++++を最大とする)で一応の抗菌性を示した。同様に,アスペルギルス・ニジェールに対する抗菌活性は+,クラドスポリウム,フザリウムに対しては+++であった。 平成7年度に予定している接着性試験などへの考慮条件としては,叩解・煮熟あとの繊維の巾(今回の測定では40ミクロン程度)の寸法などが挙げられる。
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