1995 Fiscal Year Annual Research Report
月桃(ゲットウ)の繊維を利用した紙の建築的利用に関する研究
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06650660
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Research Institution | Univ. of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森田 大 琉球大学, 工学部, 教授 (50128500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡嘉敷 健 琉球大学, 工学部, 助手 (80253946)
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Keywords | 月桃繊維 / 剥離抵抗性 / 接着剤 / 自然光曝露 / 色差値 |
Research Abstract |
当初の実験計画に従って,(1)月桃繊維を用いた紙の建材としての接着性,(2)同じくその変褪色などの劣化を調べた。(1)試料を紙厚80μm,100μm,160μm,の三種類により,実験は紙同志の接着力と紙と木との接着力について引張試験機の剥離で抵抗性を調べた。接着材の種類による影響として,通常,障子や壁紙用に使用するでんぷん系接着材を用いた場合,80μmの紙同志の接着力は0.28kg/15mmで紙と木の接着力は0.45kg/15mmと約2倍であった,また,紙厚を変えた場合,紙同志の接着力にバラツキが見られるが,紙と木の接着力は比較的安定した値が得られた。つまり,月桃紙を壁紙として貼る際には下地材料の違いに因って接着強度が決まると考えられ,紙同志と紙と木との接着強度が異なることから,実際に使用する場合,紙の重ね継ぎは,強度面では,不利になるとの結果が得られた。(2)の月桃紙の自然曝露環境下における変質については,月桃紙の厚さを50,70,100g/m^2の3通りに変えた試料を用いて25週(6ケ月)ガラス内側で行った曝露試験(内装建材としての使用条件を想定)の結果,もっとも紙厚の大きい100g/m^2の試料の色差が大きく,他の2試料についてはほとんど差異がみられなかったが厳密には70g/m^2の試料が50g/m^2の使用よりも色差変動が小さい。この2試料における色差はいずれも曝露期間中5以下で安定しているが,100g/m^2の試料(一般的に壁紙厚さの最低値と考えられる)は各方位とも25と高くなった。変褪色などの劣化の尺度として色差は色差値12を境として別の色系統になると考えられているが,この点から100g/m^2の月桃紙は室内条件によっては,自然光のあたる場所とそれ以外での部分では色ムラが生じる事になる。70g/m^2の場合には色差が5以内であり,この範囲では色差値は感知し得るほどに異なるという尺度から,月桃紙建材の場合紙厚を考慮する必要があると言える。
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