1994 Fiscal Year Annual Research Report
建築環境システムのエクセルギー・エントロピー過程に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06650663
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宿谷 昌則 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (20179021)
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Keywords | 建築環境システム / エクセルギー / エントロピー / 建築外部モデル / 樹木の消散係数 |
Research Abstract |
エクセルギーとエントロピーの概念を使ってシステムの活動メカニズムを定量的に表現できるようになれば、従来のエネルギー評価手法を補完する総合的評価手法が構築できるようになるものと期待される。本研究は、建築における室内環境調整システムのエクセルギー・エントロピー過程(エクセルギーの投入・消費、エントロピーの生成・廃棄の一連の過程)と、エントロピーの捨て場である建築外部空間のエクセルギー・エントロピー過程をモデル化することを目的としているが、本年度の研究では以下のことを明らかにした。 建築外部におけるエクセルギー・エントロピー過程のモデル化に先立ち、建物外皮前面に樹木のある場合の室内環境実測を行い、実測結果を解析することにより、a)樹木に吸収された日射エクセルギーがどのように消費されて外部気候の形成に関与するのか、b)樹木による日射遮蔽が冷房のエクセルギー・エントロピー過程にどの程度影響を及ぼすかを定量化するための基礎的検討を行った。樹木を通過する時々刻々の日射量の減衰を計算するためのモデルを試作し、その中に現われる消散係数を実測値が再現されるように決定した。実測対象とした樹木(けやき)の消散係数は、日射の入射方向によって異なり、上面入射の場合0.36、側面では0.19となった。この結果は、樹木が上面からの日射をより吸収しやすいことを意味している。更に、樹木が室内の自然室温変動に及ぼす影響をこの消散係数を用いて試算したところ、これも実測値をよく再現することができた。
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Research Products
(1 results)