1995 Fiscal Year Annual Research Report
建物の区分所有が都市再開発空間に果たす役割と可能性
Project/Area Number |
06650669
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
近江 隆 東北大学, 工学部, 教授 (50005451)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慎也 東北大学, 工学部, 助手 (20260424)
|
Keywords | 建物の区分所有 / 都市再開発 / 再開発ビル / ビルネットワーク / 商業系再開発 / MXD |
Research Abstract |
本研究は、従来の老朽木造市街地を対象とした再開発から、既に耐火造の中高層ビルの建ち並ぶ都心部の再開発が中心となるこれからの都市再開発において、建物の区分所有がその帰趨を左右するとの認識から、以下の課題を対象としている。まず、区分所有がもつ空間所有の自由性とそれが全体を構成する際にネガティブな要因との関連を調整し、高度な空間利用要求に応えられる空間構成システム、空間管理システムを構築することが求められる。そこでは、1)無隔壁型区分所有化と所有・利用の調整システム、2)所有と利用の分化と調整システム、3)複数区分所有ビルの連結と再開発ビルの空間構造を解明することを課題としている。本年度は調査の対象を市街地再開発建物だけでなく民間開発の区分所有ビルやMXDを含む区分所有建物に拡大し、上記のテーマを解明することを目的に、15地区(建物)を選定し、建物調査、権利変換計画書および登記簿閲覧、再開発組合、関係コンサルタント、設計事務所等、関係者のヒヤリングを行った。 分析結果:区分所有の上記の観点から分析した結果、区分所有が多数の権利者が有するバラバラな権利を、利用者側の要求に添うようにまとめあげていくプロセスを三つのシステムに整理した。それは、1)隔壁のシャッーター化・無隔壁化、2)後見人による所有権としての一括保全、3)共同管理による統制である。このシステムは所有権の抽象化として実現しており、それが目指す方向性(可能性)として以下の4つを確認した。1)物権的性格を維持しつつ、空間所有権としての「扱い易さ」と「広範な適用可能性」を併せ持つ、2)所有権及び建物の境界を越えた自由な空間創出の可能性、3)「関係性」の及ぶ範囲を自由に設定できる、4)「個別化」、「一体化」など様々な要素の共存を容認しつつ、全体を「共同体」として制御できる可能性。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 近江隆,松村崇: "再開発における区分所有の独立性と区分床のオープン利用" 日本建築学会計画系論文集. 第471号. 111-119 (1995)
-
[Publications] 松村崇,真壁和洋,近江隆: "権利者の集合化とその分類-商業系再開発ビルにおける所有・利用形態の集合化とその空間形成 その1" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 721-722 (1994)
-
[Publications] 真野和洋,近江隆,松村崇: "所有形態の集合化と空間形成-商業系再開発ビルにおける所有・利用形態の集合化とその空間形成 その2" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 723-724 (1994)
-
[Publications] 伊藤克己,近江隆,松村崇: "都市における区分所有の示す方向性 建物の区分所有が媒介する複合連鎖型都市空間の形成と制御 その1" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 463-464 (1995)
-
[Publications] 松村崇,近江隆,伊藤克己: "地区更新において区分所有が果たす役割と可能性 建物の区分所有が媒介する複合連鎖型都市空間の形成と制御 その2" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 465-466 (1995)
-
[Publications] 近江隆,佐藤慎也,守谷謙一: "区分所有集合住宅に関する住宅政策と所有者不在" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 1155-1156 (1995)