1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650679
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Research Institution | YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小滝 一正 横浜国立大学, 工学部, 教授 (00018045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 一興 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (10194268)
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Keywords | 痴呆性老人 / 特別養護老人ホーム / 高齢者介護施設 / 居室 / 空間認知 |
Research Abstract |
1.研究の目的 痴呆性老人介護施設において、痴呆性老人が自立的に快適に過ごすための生活環境のあり方を探るために、施設空間の分かり易さについて検討することを目的とする。本年度においては、(1)施設内での生活領域形成状況の把握、(2)自分の居室の認知方法の把握、および(3)建築計画指針策定のためにヒントを得ることを目的とした。 2.研究の方法 平成6〜7年度に行った調査と同様な方法により、建築設計者が空間把握の容易さを意図して設計した施設事例2例において調査を実施した。調査に際して、痴呆性老人と非痴呆性老人の違いを把握するために両者を比較対照した。 3.主な研究結果 (1)生活領域形成には、(1)居室拠点型、(2)共用空間拠点型、(3)複数共用空間滞留中心型(4)複数共用空間移動型がみられ、痴呆性老人には(1)が少なく、(2)(3)(4)が多い。 (2)痴呆性老人の居室探索には、(1)居室群のしつらい把握型、(2)居室群内の居室位置把握型、(3)生活拠点からみた居室方向把握型などがみられる。 (3)居室の探索には、痴呆性老人でも名札や居室のしつらいの違いが役に立っている。また、明確な色彩は認知度が高い。 (4)建築計画指針策定のためのヒントとして、(1)居室群の位置は、生活拠点となる共用空間に近く見通しの良い位置が望まれる、(2)居室群の識別には、居室群としての「しつらい」や色彩による空間の差別化が有効である、(3)居室群内での位置関係を覚え易いように3〜4室が一瞥できるような居室配置が望ましい などの研究結果が得られた。 なお、重ねて痴呆性老人の空間把握状況の経年変化についても調査を実施したが、その結果については科学研究費補助金研究成果報告書および同概要で報告する。
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