1994 Fiscal Year Annual Research Report
建設技術の普及化に関する研究(世界の国家規格と普及化の方策)
Project/Area Number |
06650686
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
片野 博 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (60038966)
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Keywords | 建設技術の普及化 / 建築関連規格 / 国家規格 / 海外規格 / 国際規格 / 規格の構造 |
Research Abstract |
建築生産は、各時代の社会的要請により、常に新しい方式を登場させてきたが、一般への普及をいかに遂行させるかも重要な仕事といえ、この中で国家規格の果たす役割は大きい。本研究では、社会的・経済的背景の異なる各国の国家規格の骨組みとその普及策を調査し、今後のボ-ダレス時代を迎える建設産業にあって、我国の国家規格の中での技術の普及化のありかたを導き出すために、6つの国家規格と一つの国際規格を対象に設定した。すなわち、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、アメリカ合衆国、日本の国家規格、さらに国際規格のISOである。 規格全体にあって、本来的に分野構成をとっていない例は、国家規格として早期に制定されたイギリスとドイツ規格に見られ、その他では「建設」の分類は存在している。また、土木との関連では、ドイツ規格のみが独立して扱われ、他の規格では土木と建築を含めた扱いとなっているが、建築関連の規格制定数の方が多い状態であった。各国別の特徴では、イギリスにあっては一般規格のほかに工事関係に使用される実施基準(CP)をもつこと、ドイツでは都市計画も含まれ、広範に扱われていること、スウェーデンでは、家具関係が多く、福祉関係も含まれていること、フランスではデザインや性能が独立規格として制定されていること、アメリカでは建築関係の国家規格数は少なく、歴史的に規格制定の役割を果たしている団体規格との補完関係が強いことが明らかになった。日本の場合には分野内の構成もシステムであるが、試験関係の位置づけが他の国と比較して不明確のようだ。また、国際規格ISOにあっては、TC(専門委員会)別に規格がまとめられ(審査機関と規格の分野が等しいこと)、建築関係では14の分野が存在し、その内容は用語の定義、試験・測定方法、モデュール関係の広義の品質管理に含まれるものがほとんどであった。
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