1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650714
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
櫻井 敏雄 近畿大学, 理工学部建築学科, 教授 (60088424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大草 一憲 近畿大学, 理工学部建築学科, 助手 (00088486)
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Keywords | 建築彩色 / 建築紋様 / 伝統的紋様 / 建築装飾 / 建築意匠 / 伝統的彩色 / 装飾的空間 / 彫刻彩色 |
Research Abstract |
建築の装飾彩色を考える場合いくつかの相点のあることに気がついた。当初は中世寺院の本堂に焦点をあて、重文に指定される遺構を丹念に調査することから始めたが、その残存度は極めて低く、かろうじて紋様が判明しても、その彩色は著しく酸化されて変色していた。中世仏堂の多くは褪色した彩色を洗って素木造りのようにみえるものがあり、彩色・紋様の有無だけでも調査する価値があるが、概して山中に営まれた密教寺院は彩色がなく、あっても無地彩色で、逆に塔内部の極彩色がよく残されている。 装飾彩色を考察するに当っては、どうもいくつか大きな論理をたてる中で調査をして大きな枠組について筋立を考えた方がよさそうである。すなわち、装飾彩色がされている部分・部位(外部・内部・内外とも、更には建築部材の部位)、建築種別による軽重(石塔・多宝塔・経蔵・本堂・阿弥陀堂など)、宗派による差違(南都六宗・天台宗・真言宗・日蓮宗・浄土諸宗・禅宗など)などを中心としながら全体の流れを把握するとともに、これらの遺構を調査することでその性格を検討し、更に本来の問題である第一義的な彩色・紋様について考えてゆくこととしたい。なお、当初の計画通り、彩色・紋様の残されているものについては写真撮影をして資料化を続行する。
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