近代洋風家具の変遷過程に関する基礎的研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06650715
• Research Institution: Kinki University
• Principal Investigator: 川上 秀人 近畿大学, 九州工学部, 教授 (10038052)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 飯田 一博 九州造形短期大学, 助教授 (10168065) ; 松本 誠一 近畿大学, 九州工学部, 講師 (50199874)
• Keywords: 家具 / 近代 / 長崎 / 居留地 / 明治 / 変遷過程

Research Abstract

予定していた実測調査はほぼ順調に実施できた。三井港倶楽部(大牟田市)と旧松本家住宅(北九州市)では、主要な家具の実測が完了し、実測図も20余点を残す程度である。両者に所在する家具は質的にかなり隔たっており、調査結果の概要については日本建築学会と日本デザイン学会とで口頭発表を行なった。
三井港倶楽部の家具に関しては、特に重要な「円卓子」を取り上げて天板・幕板・脚の結合方法を明らかにし、後者では復原も試みた。その内容は近畿大学九州工学部研究報告に掲載された。建築に関しては保存されている主な2種類の図面を比較検討し、更に70余枚の図面と実測図とを比較することによって、平面の変遷過程や改修の理由を推定した。その内容は有明工業高等専門学校紀要に記載された。
立花家住宅(通称御花、柳川市)の建築に関しては配置図を発見したので、現在実測図と比較検討中である。家具の材料はマホガニ-・サクラ類とナラ類とに大別され、前者は2階の伯爵室・謁見室といった格式の高い部屋に、後者は1階の食堂等に配置されていたことを推定した。尚、家具は東京で製作されたと推定している。
清力酒造事務所(大川市)に関しては家具調査が約半数終了し、特に建築に関しては棟木銘の発見によって、明治41年竣工と言われていた従来の考えを修正することができた。興味深いのは当建築に存在する家具(隅棚・円卓子)とグラバー園に展示されている家具(飾棚・楕円卓子)の意匠が酷似している点である。立花家住宅と清力酒造事務所に関する調査結果は日本建築学会九州支部に投稿した。
グラバー園(長崎市)に関しては約20点の実測が終了し、明治村(犬山市)に関しては現在実測対象家具の抽出を行なっている。

Research Products

• [Publications] 松本・川上・松岡・飯田: "三井港倶楽部の卓子類について" 近畿大学九州工学部研究報告(理工学編). 第23号. 37-46 (1994)
• [Publications] 松岡・川上・松本・飯田: "三井港倶楽部の設計図について" 有明工業高等専門学校紀要. 第31号. 67-80 (1995)
• [Publications] 松岡・川上・松本・飯田: "三井港倶楽部の建物について" 有明工業高等専門学校紀要. 第31号. 81-96 (1995)
• [Publications] 松本・川上・飯田・松岡: "三池集治監の椅子について" デザイン学研究第41回研究発表大会概要集. 106- (1994)
• [Publications] 松本・川上・松岡・飯田: "清力酒造事務所の家具について" 日本建築学会九州支部研究報告. 第35号. (1995)
• [Publications] 飯田・川上・松岡・松本: "旧立花邸(御花)洋館の家具について" 日本建築学会九州支部研究報告. 第35号. (1995)