1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650722
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
三浦 憲司 横浜国立大学, 工学部, 教授 (50111703)
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Keywords | 双晶 / 双晶擬弾性 / 非線形擬弾性 / Mn-Cu合金 / 形状記憶合金 / 変態双晶 |
Research Abstract |
Mn-Cu形状記憶合金の双晶擬弾性のメカニズムとして従来提案してきた,非線形な応力とひずみの関係(変形ポテンシャル)による非線形な弾性変形であるとするモデルに基づいて,モデルの改良,およびMu-Cu合金の双晶擬弾性の測定を行い,以下のような成果を得た. 1)双晶擬弾性モデルは、薄板の運動方程式と非線形擬弾性体を組み合わせて導いた振動方程式に立脚している.今回は,双晶が結晶格子から受けるダイピング力を,薄板の振動方程式の段階で明確に取り込んでモデルを改良した.その結果,下に述べるように共振曲線の計算値と測定値のより良い一致が得られた. 2)双晶擬弾性は、主としてMn-12.5at%Cu合金を用いて共振曲線と3次高調波などを室温から-35℃の温度範囲で測定することによって調べた.その結果,共振曲線(基本振動成分)は非常に非線形であり,このことはFFTアナライザによる大きな3次高調波成分の観察からも確認できた. 3)基本振動成分と3次高波成分の関係は双晶擬弾性モデルが予測する関係に従って変化し、本モデルの健全性を一面から確認した.更に,この関係から求めた高次弾性定数(変数ポテンシャル定数)を用いて改良モデルに従い共振曲線を計算したところ,測定値と改良前より良い一致が得られた.特に高振幅領域で大きな改善が得られた.これは結晶格子によるダイピング力を考慮した成果である. 4)振動方程式や数値解とFFT解析により3次高調波成分を求めたが,測定値と定量的に十分な一致を得るには至らなかった.その原因は測定値の3次高調波成分と基本振動成分の関係から決定する高次弾性定数の精度にあると考えられるので,測定した共振曲線の形に一致するように高次弾性定数を決定する方法を開発して、モデルの健全性を評価することが今後の課題として残った。
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