1994 Fiscal Year Annual Research Report
部分安定化ジルコニアにおけるマルテンサイト変態の駆動力に対する母相強度の影響
Project/Area Number |
06650728
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
早川 元造 鳥取大学, 工学部, 教授 (60093621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森永 正彦 名古屋大学, 工学部, 教授 (50126950)
岡 宗雄 鳥取大学, 工学部, 教授 (60029866)
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Keywords | 正方晶ジルコニア多結晶体 / イットリア添加 / セリア添加 / 硬さの組成依存性 / 硬さの結晶粒径依存性 / マルテンサイト変態温度 / 等温マルテンサイト変態 |
Research Abstract |
3Y-TZP,12Ce-TZPとこれらの中間組成の(Y,Ce)-TZP3組成,合計5種類の試料を粉体焼結法により作成した.また,これらの試料の一部を1600℃までの種々の温度で焼鈍し,結晶粒径の異なる試料を作成した.これらの試料を用いて以下の実験を行った. (1)母相強度に及ぼす結晶粒径及び安定化剤の影響 室温での硬さはY-TZPが最も硬く,Yの減少(Ceの増加)に伴い硬さは単調に低下した.また,700℃までの測定では,温度上昇とともに硬さはほぼ直線的に低下し,700℃では室温での値のほぼ半分であった.また,700℃においても室温で見られた硬さの組成依存性は維持されていた.500℃以上では,圧子押し込みによってマルテンサイト変態は誘起されることはないので,TZPの母相硬さは安定化剤の種類に依存することが明らかになった.また,同一組成の試料において,硬さは結晶粒径の粗大化とともに低下することが明らかになった. (2)マルテンサイト変態温度の組成および結晶粒径依存性 今回作成した試料の内,サブゼロ冷却によってマルテンサイト変態したものは二,三の試料のみで,組成や結晶粒径依存性を評価するには不十分であった.今後,更に安定化剤の少ない試料を作成する必要がある.一方,いずれの試料も粉砕加工によりマルテンサイトが誘起され,加熱時の逆変態挙動を高温X線回折測定することによりAs温度を測定することが出来た.また,これらの粉砕試料は50℃〜400℃の温度範囲で等温的にマルテンサイト変態することが明らかになった.等温変態温度の上限は熱力学的平衡温度To以下であるので,この温度とAs温度の平均よりTo温度が精度よく見積もれることを提案した.
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