1995 Fiscal Year Annual Research Report
f電子系Pd-Ce合金における圧力誘起電子転移とそれに伴う異常物性の発現機構
Project/Area Number |
06650731
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
沖 憲典 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (70037860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多 聡 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (60264107)
板倉 賢 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (20203078)
桑野 範之 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (50038022)
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Keywords | f電子系 / GaCe / 高圧 / ダイヤモンドアンビルセル / XANES / 高密度近藤効果 / Ce価数 |
Research Abstract |
前年度の研究によって、ダイヤモンドアンビルセルを用いて高圧力を加えた微量の合金粉末試料から蛍光法により良質のXANESスペクトルを測定する技法を開発した。本年度の研究では、この方法に更に改良を加えて定量性の向上を試みると共に、高圧下で顕著な物性異常(高密度近藤効果)が現れるPdCeおよびGaCe合金相について種々の高圧力下におけるCe-L_<III> のXANESスペクトルを実際に測定した。また、実測した高圧XANESスペクトルを我々が以前開発した解析プログラムを用いて定量的に解析し、高圧下でのCe価数を導出した。これらの結果を同時に行った物性測定と併せて比較・検討を行い、圧力により誘起される4f電子転移とそれに伴う異常物性(高密度行動効果)の発現機構について議論した。得られた結果・結論を以下に示す。 1.GaCe合金相においては、常圧下で3.02価から高圧下(9GPa)で3.14価まで圧力と共にCe価数が増大する。また、PdCe合金相中でもGaCe相と同様に圧力によってCe価数が徐々に増大する。すなわち、合金相においても圧力によって4f^1→4f^0の電子転移が進行する。 2.GaCe合金相においてもPdCe相と同様に加圧によって高密度近藤効果が現れ、この効果は圧力と共に顕著になっていく。また、GaCe相では約6GPa以上の圧力を加えると圧力増加と共に高密度近藤効果か徐々に弱まっていく。 以上の結果より、合金相中でのCe価数が3価に極めて近い場合には4f電子数が多すぎて高密度近藤効果は現れないが、加圧と共に一部の4f電子が伝導帯に放出されるに連れて近藤効果が顕著になっていき、さらに高圧側では近藤効果を担う4f電子が少なくなり圧力増加と共に高密度近藤効果が徐々に弱くなっていくことがわかる。この結果は、顕著な高密度近藤効果が発現するのに最も適したCe価数が存在することを示している。
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