1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650736
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
朱 鴻民 東北大学, 工学部, 助手 (40216148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 守 東北大学, 工学部, 助手 (30213599)
佐藤 讓 東北大学, 工学部, 助教授 (80108464)
山村 力 東北大学, 工学部, 教授 (80005363)
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Keywords | 過冷液体 / ガラス / 構造緩和 / ブリュアン散乱 / 塩化亜鉛 / ハロゲン化合物 |
Research Abstract |
本研究は塩化物と酸化物の中からガラス形成しやすい系を対象に取り上げ、過冷液体とガラス(ガラス化温度付近を中心に)状態における構造緩和を音波スペクトロスコピーで考察することを目的とする。本年度では、塩化亜鉛(ZnCl_2を含む二成分系を中心に研究を展開された。塩化亜鉛は融点付近になると、網目構造を形成し、粘性が著しく大きくなる。その冷却過程において音波の分散が生じる。この音速の分散は超音波およびブリュアン散乱両方の測定で確認された。 塩化亜鉛にアルカリハロゲン化物を添加すると融点が低下し、比較的安定なガラスを得ることができる。本研究では、ZnCl_2‐NaCl,ZnCl_2‐KCl,ZnCl_2‐CsCl,ZnCl_2‐KBr,およびZnCl_2‐KI各二成分系について、レーザブリュアン散乱実験を行った。独自に考案した方法で精製した試料を用いることによって、全周波数にわたるスペクトルが得られた。その結果、何れの系においても、音波の分散が認められ、構造緩和が観察される。また、散乱光に励起光振動数に等しい振動数の成分が測定された。その成分は、レイリー散乱と同じ振動数を持つが、半値幅が大きく、しかも温度の変化に非常に敏感である。これは、融体における構造緩和に寄与する成分であることが分かった。全スペクトルについて粘弾性理論を用いて解析し、構造緩和の強度および緩和時間を決定した。さらに、共晶組成付近の試料について、過冷液範囲で測定した後、急冷でガラス化し、そのガラス試料につていもレイリー-ブリュアン散乱スペクトルを測定した。その結果、散乱スペクトルは過冷液の低温側のと類似するが、緩和成分が存在しない。ガラスの弾性率は過冷液融体の無限高周波数のと同じ温度依存性をもち、ガラスと過冷液体の間に、連続性が存在することが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Zhu: "Brillouin Spectra and StractualRelaration in ZnCl_2‐KCl Binary Melts" Jpn.J.Appl.phys.33. 3220-3225 (1994)
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[Publications] H.Zhu: "Rayleigh-Brillouin Scattening of ZnCl_2‐MCl Binary Melts" Molten Salt. 9. 300-307 (1994)