1995 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオンの挿入・脱離に伴う酸化物電極の結晶構造および電子構造変化
Project/Area Number |
06650745
|
Research Institution | KYOYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
金村 聖志 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30169552)
|
Keywords | スピネル型酸化物 / カチオンオーダリング / X線回折 / 電子スピン共鳴 / リチウム挿入・脱離 / Li_<4 / 3>_<5 / 3>O_4 / 酸化・還元 / 電位 |
Research Abstract |
スピネル型酸化物のリチウム挿入・脱離反応の解析をX線回折法および電子スピン共鳴法を用いて調べてきた結果、Mn系のスピネル系材料では、リチウムの挿入あるいは脱離により結晶構造が不安定化することを報告してきた。このような結晶の不安定化を取り除くために、新規のスピネル型酸化物材料の開発を行った。スピネル型酸化物の一つの特徴としてカチオンのオーダリングがある。このオーダリングは結晶をより安定化する方向に作用するため、前述の結晶の不安定化を抑制できる可能性がある。そこで、Li_<4/3>M_<5/3>O_4の組成を有するMnやTiの酸化物を合成した。これらの材料では16dと呼ばれるカチオンサイトにLiとMが存在し、これらが規則正しく配列していることをX線回折により確認した。この材料のリチウムの挿入・脱離反応についてX線回折法および電子スピン共鳴法を用いた調べた。また、電気化学的な挙動として一定の速度でリチウムを固体内に挿入した時の電位の変化について測定した。結晶構造的に見ると、このようなカチオン配列を有する材料は、リチウムの挿入・脱離による構造変化が非常に小さく、また、電子スピン共鳴により通常のMn系のスピネル酸化物において見られた分解に関するピークは観測されなかった。また、電気化学的には非常に平坦な電位変化を示し、リチウムの挿入・脱離に伴う自由エネルギー変化が非常に小さいことがわかった。このような挙動はMn系だけでなくTi系においても観測された。このように、通常のスピネル酸化物では考えられないいくつかの特筆すべき性質がカチオンの規則的な配列を構造内に導入することにより引き出されることがわかった。
|