1995 Fiscal Year Annual Research Report
誘電体薄膜の成長素過程に及ぼすエネルギービーム照射の影響
Project/Area Number |
06650753
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Research Institution | RYUKOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上條 栄治 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30214521)
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Keywords | セラミックス薄膜 / ダイヤモンド状炭素薄膜(DLC) / 原子間力顕微鏡(AFM) / 電子サイクロトロン共鳴スパッタ / 光学特性 / 表面微構造 / エネルギービーム照射 |
Research Abstract |
1、研究目的:誘電体薄膜を対象に薄膜成長表面にエネルギービームを照射しながら薄膜を合成し、薄膜の物性並びに表面微構造を原子間力顕微鏡(AFM)などを用いて評価し、エネルギービーム照射の効果とその素過程を明らかにする事を目的に、本年度は以下の研究を行った。 2、研究内容:電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ装置を用いて、個体炭素をターゲットに、プロセスガスとしてAr-O_2混合ガスを用いてダイヤモンド状炭素(DLC)薄膜を各種プロセス条件のもとで合成し、物性並びに表面微構造を評価した。 薄膜成長の素過程を明らかにするため成長時間をパラメーターにした表面微構造変化を原子間力顕微鏡で追跡観察、した。以上の研究を通じ以下の事が明らかになった。 (1)浮遊状態にした基板電位は、ガス圧に大きく依存し、基板電位が薄膜成長表面に照射されるエネルギービームのエネルギーに相当し、合成されたDLC薄膜の物性に大きな影響を与える事が明らかになった。 (2)合成されたDLC薄膜の電気伝導度と光透過率は混合酸素ガス組成に大きく依存し、酸素混合比が10mol%までは電気伝導性(1KΩ以下)で光透過率が50%以下で、20mol%以上では絶縁性(20MΩ以上)で光透過率が80%以上の膜であった。 (3)絶縁性で光透過率の高い膜の屈折率は2.4とダイヤモンドに相当する値を示した。 (4)合成された薄膜は、XRD、ラマン分光で解析した結果SP^3SP^2構造の炭素が混合したもので、AFMで観察した表面の微構造は基板温度が400℃以下では20nm程度の微結晶、600℃では200nm程度まで成長する事が明らかになった。 (5)成長過程をAFMで追跡観察した結果、最初は島状に微細な核発生を示し核の数は順次増加、約1725ケ/u2で飽和し平均粒径15nm程度の結晶粒で表面が一様に覆われる。その後、結晶粒数は順次減少し120分で18ケ/u2、平均粒径226nmと成長している様子が明らかになった。
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Research Products
(1 results)