1994 Fiscal Year Annual Research Report
フォトンカウンテイングによる複合材料界面領域の力学的解析
Project/Area Number |
06650755
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
成澤 郁夫 山形大学, 工学部, 教授 (50007184)
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Keywords | フォトン / ブレンド / 降伏 / クレイズ / 破壊 / 発光 / 分子鎖切断 |
Research Abstract |
複合材料あるいは複合材料のマトリックス高分子の微視的な破壊過程を検討するために、変形と破壊における分子鎖切断に伴うフォトンの検出を行うことで解析した.変形や破壊によるフォトンの放出は極微弱であるために、検出装置そのものが問題と成る.本研究では、光電子倍増管を用いて、走査型電子顕微鏡の試料室中に検出装置と試料負荷装置を組んだ後、その基本装置特性を調べることから始めた.その結果、ダ-クカウント特性をまず検討し、試験片の変形によるフォトンの放出が検出できることを確認した後、各種高分子および複合材料としてそれらの非相溶ブレンド試料を対象に実験を行った.非晶性高分子としてはポリカーボネート(PC)、およびポリフェニレンエーテル(PPE)およびこれらのゴム粒子添加試料について変形開始から破壊までの応力変化とフォトンの発生状態を求めた結果、とくにブレンド物においては発光がクレイズの発生と対応することを明らかにした.また、単体では変形とともにフォトンの数が増加し、降伏および破壊点でピークを持つこと、破壊後もテイリングを有することが明らかになった.また、結晶性高分子としてはナイロンおよびポリオレフィン類について同様な検討を行った結果、ナイロンについては基本的には非晶性高分子と類似した結果が得られたが、吸水することでフォトンの発生は大きく減少した。ポリオレフィンについては変形と破壊に伴う発光は認められなかった.熱硬化性樹脂であるエポキシについては未反応のエポキシ基の存在によりフォトンの発生数が影響を受けることが明らかとなり、変形より架橋密度などを推定するのに有効であることが明らかとなった.
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