1994 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス及びその溶射材の磨耗、転がり疲労の機構と強化
Project/Area Number |
06650778
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 隆司 名古屋大学, 工学部, 教授 (20023228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 哲哉 名古屋大学, 工学部, 助手 (00216805)
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Keywords | セラミックス / 窒化珪素 / サイアロン / 転がり疲労 / モードIIき裂 |
Research Abstract |
本年度は、試作したばね負荷回転接触式セラミックス用転がり疲労試験機を用いて窒化珪素セラミックス及びサイアロンの転がり疲労試験を実施した。試験機については、各部品の精度を上げ、荷重検定を厳密にするなどの改良を加え、当初の目的に沿ったすべりの少ない転がり疲労試験を行うことができるようになった。15EA02:いずれの材料とも転がり接触により繰返し疲労現象を示し、ヘルツの応力と破断寿命の間には金属と同様なS-N曲線が得られた。窒化珪素については破断した試験片の破断部近傍、途中除荷した試験片いずれも接触表面直下200-300μmの位置に表面に平行な方向に数μmの大きさの微小き裂が多数発見された。破断部の走査電子顕微鏡による破面観察においても発見された微小き裂の寸法に対応する階段状の平坦な破面がみられ、破壊は表面に平行な方向に多数形成されたせん断形のき裂の合体によって生じているものと思われる。また、繰返し速度を変化させた実験では当初の予測に反して繰返し速度の遅い方が疲労強度が高いという結果が得られた。これらの事実は破壊過程が大気の影響を受けない内部で進行していることを示している。実験に用いた窒化珪素の一種については大気中の引張・圧縮負荷においては繰返し数依存形の疲労は起こされず、時間依存形の遅れ破壊(応力腐食割れ)によって破壊することが確認されている。このことは金属疲労のような繰返し数依存形の疲労を起こしにくいとされるセラミックスにおいても、圧縮応力とせん断応力が重畳した条件下では繰返し数依存形のしかも金属と同様なモードII形のせん断き裂による破壊を生じることを示している。今後、き裂の成長過程を観察し、以上の現象の確認を進める予定である。
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