1994 Fiscal Year Annual Research Report
有機複合材料の機械的性質に及ぼす放射線と応力との同時効果
Project/Area Number |
06650780
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西浦 徹也 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (50112066)
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Keywords | エポキシ樹脂 / エポキシ系FRP / 放射線照射下クリープ / 同時効果 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
有機複合材料(FRP)は核融合炉の超電導磁石用の絶縁材・スペーサーとして使用する事が検討されている。この超伝導磁石材料は、放射線に曝されながら同時に応力が負荷される。従来、多く行われている照射済材(照射後の材料)を試料とした実験は、真の意味で、核融合環境を模擬しているとは言えない。そこで、このような環境下(応力と放射線が同時に負荷される)において有機材料の機械的性質がどのように変化するのかを明らかにすることを目的として、実用材料であるエポキシ樹脂及びエポキシ系FRPの放射線照射下クリープ実験を行った。その結果、そのクリープ速度は放射線と応力とを同時に負荷した場合には、未照射材や照射済材に比較して2桁以上大きくなっていることが確認できた。 エポキシ樹脂及びFRPのクリープ速度の温度依存性について検討を加えた。エポキシ樹脂の場合には、そのアレニウスプロットから、未照射材及び照射材の温度依存性を示す直線は、同時効果材の直線よりもその傾きが大きくなっており、この傾きから活性化エネルギーを求めるとそれぞれ5.2kcal/moleおよび、1.0kcal/moleであった。エポキシ樹脂の活性化エネルギーが放射線環境中では、約80%減少している。FRPの同時効果条件下のクリープ速度は温度変化に対して速度が殆ど変化を示しておらず、活性化エネルギーが無視できるほど小さくなっていることを示している。 このようなクリープ速度が2桁以上大きくなることと、活性化エネルギーの変化から、クリープ変形のメカニズムが応力と放射線とが同時に負荷される場合と個々に負荷される場合とで変化していると推定できた。
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