1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650785
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
田井 英男 帝京大学, 理工学部, 教授 (80029074)
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Keywords | はんだ合金 / 熱起電力 / マイクロソルダリング |
Research Abstract |
ナノボルト(10^<-9>V)程度の微小電圧を測定する電子回路の実装には対銅熱起電力の小さいはんだ合金が要求される。本研究では、はんだ合金の組成、結晶構造や金属組織と対銅熱起電力との関係を調べ、低熱起電力はんだ合金開発の基礎的知見を得ることを目的とした。 電子機器の実装に現在最も広く使用されている、Sn-40%PbはんだにSbとBiを添加することによって、対銅熱起電力が零となるような合金組成を求めることができた。以下、結果を箇条書きにする。 (1)本研究費で購入した、データレコーダおよびスキャナを組み合わせ、パーソナルコンピュータ制御の自動熱起電力測定装置ならびに示差熱分析装置を試作した。 (2)Sn-40%Pb合金の対銅熱起電力はSb添加により低下し、18.8%添加によりほぼ零となった。ただしその液相線温度は308℃であった。 (3)Sn-40%Pb合金の対銅熱起電力はBi添加によっても低下するが、ゼ-ベック係数が温度依存性を示すので、低熱起電力はんだとしては必ずしも好ましくない。 (4)Sn-40%Pb合金にSbとBiを複合添加することにより、温度によらずゼ-ベック係数が零であり、しかも、液相線温度が低い合金組成を求めることを試みた。その結果Sn-27.6%Pb-15.5%Sb-15.5%BiおよびSn-26.2%Pb-8.6%Sb-25.9%Bi合金のゼ-ベック係数はほぼ零でありそれら合金の液相線温度はそれぞれ284℃および219℃であることが判明した。 以上の結果をもとに、今後はさらに合金の熱起電力と金属組織との関係について詳細な研究を続行したい。
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