1994 Fiscal Year Annual Research Report
変態誘起塑性型複合組織鋼板の組織制御と温間加工によるプレス成形性の改善
Project/Area Number |
06650797
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉本 公一 信州大学, 工学部, 助教授 (50094272)
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Keywords | 変態誘起塑性 / 複合組織鋼 / 残留オーステナイト / 穴広げ性 / 温間加工 / ひずみ誘起変態 / ボイド |
Research Abstract |
変態誘起塑性型複合組織鋼(TDP鋼)の張り出し性および穴広げ性に及ぼす金属学的組織因子、成形条件の影響は以下のように見い出された。 1.金属学的組織因子の影響:室温での張り出し性および穴広げ性は第2相形態を微細針状型とすることにより従来鋼に比較して1.5倍以上の大幅な改善が得られた。これらの成形性の改善は第2相の微細化により母相/第2相界面でのボイドの発生が抑制されたことに主に起因し、残留オーステナイト(γ)の体積率が増加するほど、また残留γ内の炭素濃度が低下する(残留γの安定性が低下する)ほど顕著に現われた。 2.成形条件の影響:温間加工により両成形性は著しく改善された。とくに、穴広げ性は現在複合組織鋼の中で最も良好な穴広げ性をもつフエライト+ベイナイト鋼を上回り、最良の高強度鋼板であることを見い出した。最適な成形温度Tpは20〜250℃の範囲にあり、残留γの炭素濃度から計算されるMs点の増加に伴い直線的に増加した。この最適温度は残留γのひずみ誘起変態が適度に抑制される温度と対応し、この温度において残留γのひずみ誘起変態がボイド形成を最も効果的に抑制したことが認められた。 打抜き穴加工での最適クリアランスは10%であり、その加工速度を増加するほど穴表面の損傷(ボイド形成など)を抑え、穴広げ性をより改善できた。 3.今後の検討課題:微細針状型の第2相を得るための熱処理は実用上コスト上昇につながる。このため、同じ様な微細な組織が望めるベイナイト鋼に残留γを含ませた新しいタイプの高強度鋼板を開発していきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 長坂明彦 他3名: "TRIP型複合組織鋼の温間穴拡げ成形性(第2相形態の影響-2)" 材料とプロセス(CAMP-ISIJ). 7. 1669- (1994)
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[Publications] 長坂明彦 他2名: "変態誘起塑性(TRIP)型高強度複合組織鋼板の温間穴拡げ成形性" 日本機械学会講演論文集. No.940-36. 216-217 (1994)
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[Publications] K.Sugimoto 他1名: "WARM Stretch-Formability of TRIP-Aided Dual-Phase Sheet Steels." Proc.of High-Strength Sheet Steels for the Automotive Industry,ed.by.R.Pradhan,ISS. 255-266 (1994)
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[Publications] 杉本公一,小林光征: "Dual-Phase鋼の残留オーステナイト中に発生する内部応力とひずみ誘起変態の影響" 材料とプロセス(CAMP-ISIJ). 84月発表の予定. (1995)
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[Publications] 長坂明彦 他2名: "残留オーステナイトの変態誘起塑性による高強度鋼板の伸びフランジ性の改善" 材料とプロセス(CAMP-ISIJ). 84月発表の予定. (1995)