1994 Fiscal Year Annual Research Report
高機能表面創製法としての複合めっきプロセスの効率化に関する研究
Project/Area Number |
06650805
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
林 秀孝 岡山大学, 工学部, 講師 (90164954)
|
Keywords | 分散めっき / 複合めっき / 共析 |
Research Abstract |
今年度は、各種めっき浴からの微粒子共析現象に対する溶液pHのおよぼす影響を中心に研究を進めた。特に酸化物粒子の場合、金属イオンとの相互作用は溶液pHに依存するので、酸性のめっき浴中で安定と考えられるTiO_2粒子の挙動を中心に検討した。また、難溶性イオン結晶であるBaSO_4粒子の挙動もあわせて検討し比較を行った。めっき欲として副反応があまり起こらず電解条件による溶液pHや金属イオン濃度の変動がほとんどないと考えられる酸性硫酸銅めっき浴中でのTiO_2およびBaSO_4粒子の銅イオンとの相互作用について、アルカリ添加による電位差滴定法によって検討した。TiO_2粒子の場合には、酸化物粒子としての個体酸・塩基的性質から予測される挙動とは異なり、TiO_2粒子が本来は塩基として振る舞う酸性条件(pH=5.5以下)においても、みかけ上固体酸として振る舞うことが明らかとなった。これは金属イオンとの相互作用の結果、プロトンが溶液中に放出されたと考えることができ、同時に銅イオンが粒子表面に結合したためと考えられる。粒子表面に対する銅イオンに吸着量とpHの間にはこれを裏づける関係が見いだされた。BaSO_4粒子の場合には溶液との間での酸・塩基的な相互作用は観測されず、また銅イオンとの相互作用も見いだされなかった。次に、各種の電解条件のもとで粒子の共析について検討したが,TiO_2粒子の場合その共析量は、粒子表面に存在する銅イオンの量に比例した。BaSO_4粒子の場合には、粒子を水平に配置した電極上に沈積させた場合においても析出金属中への粒子共析は観測されなかった。以上のような結果から、粒子共析現象にとって金属イオンと粒子との相互作用が重要であることが明らかとなった。
|