1994 Fiscal Year Annual Research Report
機械構造部材としてのセラミックス・金属接合体における接合部の耐環境評価
Project/Area Number |
06650810
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
高島 敏行 北海道工業大学, 工学部, 講師 (20094815)
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Keywords | セラミックス / 金属 / 接合 / 環境 / 腐食 / 反応層 |
Research Abstract |
本年度は、数種類のセラミックス・金属接合体を作製し、熱水ならびに希硫酸液中での耐食試験を実施した。熱水浸漬試験は,Al_2O_3/金属接合体およびAl_2O_3セラッミクス単体を対象に行った。希硫酸浸漬試験は、Si_3N_4/金属接合体およびAl_2O_3/金属接合体とAl_2O_3セラミックス単体を対象に行った。 その結果、熱水試験では,Al_2O_3/金属接合体は800hまでの範囲で破断強度に20〜30%の劣化が認められ,1000h浸漬後の試験体の反応層には電気化学的腐食と思われる現象が認められた。浸漬後の接合体の反応層に対してEPMAによる定量分析を行った結果、浸漬前と比べ顕著な変化は認められなかった。また、Al_2O_3セラミックス単体は,1000hまでの範囲では強度の劣化は認められなかった。したがって,Al_2O_3/金属接合体の強度劣化は、反応層の電気化学的腐食によるものと考えられ、利用範囲の再検討が必要と考えられる。希硫酸浸漬試験では,Si_3N_4/金属接合体の金属部分で腐食減少が認めら、減少量の測定は接合界面か250,500,750μm,3.75,13.75mmの位置においてSi_3N_4を基準とした。その結果、750μmまでは1Nおよび6Nともに200hの浸漬で5μm程度の減少が認められ、1000hまで時間の経過とともに増加する傾向を示した。3.75mm以上の位置では、1000h時間までの範囲で極微量の減少であった。これは、接合体に残存する残留応力に支配されるものと考えられ、界面近傍での減少が顕著であった。一方、Al_2O_3/金属接合体の希硫酸浸漬試験では、セラミックスとS45Cの腐食減少が著しく、コバ-ル合金を基準としてAl_2O_3の減少量を測定した。1Nでは20hで、6Nでは10hで3.5〜4μmの減少を示した。これは、Al_2O_3セラミックス単体ではほとんど浸食されないことから、金属部分の腐食が先行した後にFeによる複合腐食が加速的に進むことが明らかとなった。 これらのことから、セラミックス・金属接合体の耐環境性に関する反応層と残留応力による腐食挙動の基礎的な点について明らかにすることができた。
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[Publications] 高島敏行 他: "蒸気メタライズ法によるセラミックスの表面処理" 表面技術協会90回講演大会概要集. 118- (1994)
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[Publications] 高島敏行 他: "炭化ケイ素セラミックスのチタン蒸気メタライジング" 日本セラミックス協会秋季シンポジウム講演予稿集. 24- (1994)
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[Publications] 高島敏行 他: "セラミックスと金属接合体の耐環境性" 日本金属学会講演概要(第116回). (1995)