1995 Fiscal Year Annual Research Report
AE原波形およびテンサー解析による環境劣化割れのメカニズム解明
Project/Area Number |
06650811
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
竹本 幹男 青山学院大学, 理工学部, 教授 (40082838)
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Keywords | アコース・ティック・エミッション / 原波形解析 / モーメント・テンソル解析 / 高温変位センサー / たたみ込み積分 / 塩化物応力腐食割れ / 実験的応答関数 / へき開破壊 |
Research Abstract |
活性経路アノード溶解型応力腐食割れ(SCC)として、鋭敏化SUS304鋼の常温ポリチオン酸SCC中の8チャンネルAEモニターリングを行なった。縦波放射パターンおよびモメントテンソル解析を行なった結果、破壊モードの異なる半連続的多段階(2-3段階)破壊が発生していることを初めて明らかにした。極めて短い(1-2μs)潜伏時間を持つ破壊モードの異なる多段階破壊のため、全てのセンサーが最初の破壊による縦波を捉えられないため、モーメントテンソル解析は異常な値を示す。このことを踏まえ、破壊モードの異なる2段階破壊を考えてシミュレションした面外変位は、実測変位を良い一致を示すことを明らかにした。一方、事例の多いSUS304の塩化物割れ中のAEモニターリングは、高温沸騰塩化物溶液(BP=145C, 42%MgCl2)では、センサーの破壊をもたらすこと、沸騰ノイズが多いことからこれまで計測は不可能であったが、初めてAEモニターリングと原波形解析を行い、数は少ないものの脆性的な高速破壊が関与していることを明らかにした。またこの研究では、半無限体に対して適用可能な第2種グリーン関数を用いる従来法でなく、小さな試験片の実験的応答関数決定法を提唱した。すなわち、step unloading入力にたいする第1種応答関数を、ダイポール(破壊)現象に対する第2種応答関数に変換し、試験片に即した応答を計算した。計算変位は、実測変位を良い一致を示すことからこの方法の有効性が立証され、脆性破壊が関与していることがわかった。また、高温溶融塩による損傷中に高速破壊が発生しているがを検証するため、600Cまで耐用できる高温変位センサーを世界で初めて開発した。このセンサーを用いて、都市ゴミ発電プラントでの模擬溶融塩化物による損傷と銀ろうによる高温損傷をモニターした結果、高速の粒界破壊が発生すること、破壊はgrain boundary decohesionによる可能性が高いことを明らかにした。
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[Publications] 竹本幹男 中沢知之: "いわゆる活性経路アノード溶解型応力腐食割れのメカニズム" 材料と環境. 44. 166-173 (1995)
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[Publications] 竹本幹男: "鋼が水素吸蔵中に弾性波に関する一考察" 材料と環境. 44. 494-605 (1995)
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[Publications] 大出克久、林健太郎、竹本幹男: "分散性弾性波の順解析による高温環境劣化割れのメカニズム 第1報" 材料と環境. 44. 674-682 (1995)
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[Publications] 林健太郎、竹本幹男: "分散性弾性波の順解析にいる高温環境劣化割れのメカニズム 第2報" 材料と環境. 45. 2-10 (1996)