1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650827
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 亮 東北大学, 素材工学研究所, 助教授 (70111309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 純一 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (20261472)
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Keywords | テルル / 介在物 / 過飽和 / 界面エネルギー |
Research Abstract |
1)あらかじめアーク炉で溶製した初期アルミニウム濃度0.02〜0.2%のFe-Al合金,および,CaO-Al_2O_3系スラグを1600℃,脱酸アルゴン気流中で溶解し、0.008〜0.2%Teになるようにfe-Te合金塊または金属Te粒を添加後、3時間保持してる、るつぼごと急冷した。また、Teを添加しない実験も行った。得られたメダル試料について,全酸素,酸可溶アルミニウム,酸不溶アルミニウム(介在物),全テルルの各濃度を分析により求めた。その結果,テルルを添加しない場合,或るアルミニウム濃度(酸可溶アルミニウム濃度と酸不溶アルミニウム濃度の和)における全酸素濃度(急冷凝固後に、メタル中に溶存していた酸素濃度と介在物として析出した酸化物中の酸素濃度の和)は、Al/(Al_20_3)平衡で決まる値より高く,過飽和であることがわかった。また,テルル濃度が約50ppm未満の場合も同様であった。一方、テルル濃度が約50ppm以上の場合には,全アルミニウム濃度と全酸素濃度の関係はAl/(Al_20_3)平衡の場合と等しかった。この理由は以下のように考えた。界面活性元素であるテルルの添加により溶鉄/介在物間の界面エネルギーが低下し,介在物の析出に必要な臨海過飽和度は低下する。この低下の度合はテルル濃度が高いほど大きい。このため、テルル濃度が高いほど,過飽和に存在していた酸素は介在物として析出し,テルルの別の効果(介在物の浮上促進)によって,溶鉄上のスラグに吸収されたとみなされる。この介在物の析出:浮上分離により,テルル濃度が高い場合に,全アルミニウム濃度と全酸素濃度の関係はAl/(Al_20_3)平衡の場合と等しくなったと考えられる。 2)上記(1)の実験において3時間保持した後,冷却速度2.7℃/minで1575,1550,または1525℃まで冷却冷却し、(1)直ちに急冷,(2)2時間保持後急冷を行った。その結果,テルルを添加しない場合にはいずれの急冷温度においても1600℃におけると同様の過飽和が認められたのに対し,テルルが存在する場合には急冷温度の低下とともに全酸素濃度は減少した。また,2時間保持することにより、全酸素濃度は低下した。このことから,テルル存在により,1600℃から鉄の融点(1536℃)までの冷却中に、介在物の析出・浮上が生じることがわかった。また,1575,1550℃マデ冷却後直ちに急冷した試料について,その上下方向の各部の酸不溶アルミニウム濃度から,テルルによる介在物浮上効果が明らかになった。
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