1994 Fiscal Year Annual Research Report
局所乱流構造に基づく撹拌槽スケールアップの手法確立
Project/Area Number |
06650854
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小川 浩平 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 教授 (00016635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 史郎 東京工業大学, 理工学国際交流センター, 助教授 (40220602)
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Keywords | 撹拌槽 / 混合 / スケールアップ / エネルギースペクトル / 乱流 / 流速変動 |
Research Abstract |
撹拌槽のスケールアップ手法は未だ確立されておらず、いずれの従来の手法もそれを妥当とする理論的裏付けが希薄で普遍的な方法には成り得ていないのが現状である。そこで、撹拌槽内の乱流構造の定量的表現手法として最も適当と考えられるエネルギースペクトル分布に基づいたスケールアップ則を確立することを目的として研究を行った。一般の乱流場におけるエネルギースペクトル分布については装置の大きさと深い関係があることは実験的に既に確認している。そこで本研究では大きさの異なるいくつかの幾何学的に相似な撹拌槽内の局所における流速変動などを実測し、エネルギースペクトル分布と槽の幾何的な大きさの関係を定量的に明確し、スケールアップに関する情報を得ることを試みた。撹拌槽として幾何学的に相似な円筒型平底バッフル付アクリル樹脂製撹拌槽および6枚平羽根タービン型撹拌槽を作製し、水を試験流体とする層流域および完全邪魔板条件下において吐出流領域を中心とする槽内各点での流速変動を拡散律速電極反応を利用して測定した。得られた流速変動に基づいて槽内の流速変動のエネルギースペクトル分布を求めた。様々な大きさの乱流渦が流速変動に占める割合を示すエネルギースペクトル分布は乱流場を構成する平均スケールをもついくつかの渦のグループのスペクトル分布の合成により表されることが確認されているが、撹拌槽の場合も同様の結果が得られた。さらに、渦のグループうち小さいスケールのものに基づくスペクトル分布は装置寸法によらずほぼ等しくなるが、寸法が大きくなるにしたがい、より大きな渦グループが現れ、低波数領域のスペクトル分布が変化することが明らかとなるとともに、この結果に基づいて、撹拌槽のスケールアップ則を確立することができ、同則を用いて従来のスケールアップ則を評価した。
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