1994 Fiscal Year Annual Research Report
新しい機能性材料としての無機質壁マイクロカプセルの合成と応用
Project/Area Number |
06650864
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
羽野 忠 大分大学, 工学部, 教授 (80038067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 孝明 鹿児島工業高等専門学校, 助教授 (80128339)
平田 誠 大分大学, 工学部, 講師 (20264327)
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Keywords | マイクロカプセル / 無機質微粒子 / エマルション / 乳化液膜 / 抽出 / ケイ酸塩 |
Research Abstract |
本研究では、W/O/Wエマルションを用いた乳化液膜法により無機質壁からなるマイクロカプセルを調製し、その新規な応用について検討することを目的としている。本年度は、この技術の基礎となる無機イオン交換反応と抽出・析出現象の解析を行い、物質収支と速度の解析を行った。 まず、ケイ酸カルシウム壁マイクロカプセルの合成条件の影響を調べた。エマルション内水滴径、油相粘度、界面活性剤濃度、抽出剤濃度、外水相カルシウム濃度、内水相ケイ酸ナトリウム濃度等の操作条件を幅広く変え、カプセル形成速度およびカプセル形状への影響について検討を行った。マイクロカプセルの径は内水滴径の0.76倍に比例した。抽出剤濃度を高くすることによって形成速度は大きく増加し、反応時間の短縮に寄与した。一方、球形粒子の割合も増加した。界面活性剤濃度の増加は粘度の上昇により速度を大きく低下させたが、粒子の形状はきれいになることが示された。また、内外水相中の塩濃度を高くするとともに速度も上昇することが明らかになった。両者の間には、ほぼ1次の関係が得られた。これらの結果に基づき、マイクロカプセル形成機構について考察を進めた。外水相から内水相へカルシウムイオンが移動する過程は、エマルション滴表面での外部境膜移動、界面での抽出剤とのイオン交換反応、油相を通しての錯体移動、内水滴表面でのイオン交換反応、マイクロカプセル壁内の物質移動、およびケイ酸塩殻の形成反応からなっている。これらの中で、油相内移動過程および壁内の移動過程がカプセル形成過程の律速段階と推測された。さらに、カプセル内へ芯物質を保持させることを検討した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 羽野 忠: "Separation of di- and tripeptides with solvent extraction" J.Chemical Technology and Biotechnology. 62. 60-63 (1995)
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[Publications] 羽野 忠: "嫌気-好気活性汚泥法による負荷変動を伴う排水の処理" ケミカルエンジニヤリング. 39(6). 16-21 (1994)
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[Publications] 羽野 忠: "Development of an extraction system for the recovery of boric acid from geothermal waters" Solvent Extraction Research and Development,Jpn.1. 146-153 (1994)
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[Publications] 羽野 忠: "Preparation and demulsification of W/O emulsion containing aqueous alkaline solution" J.Chemical Engineering of Japan. 27. 421-423 (1994)
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[Publications] 羽野 忠: "生物膜流動層を用いた複合有機排水の処理" 環境技術. 23. 424-426 (1994)
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[Publications] 羽野 忠: "Continuous extraction of penicilin G with liquid surfactant membrane using Vibro Mixer" J.Membrane Science. 93. 61-68 (1994)