1994 Fiscal Year Annual Research Report
希土類金属のための高度分離用抽出剤の開発と分子設計に関する研究
Project/Area Number |
06650886
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 勝利 佐賀大学, 理工学部, 教授 (90039280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 助手 (70243996)
吉塚 和治 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70191567)
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Keywords | 溶媒抽出 / カリックスアレーン誘導体 / レアメタル / 希土類金属 / 貴金属類 / カルボン酸 / ヒドロキサム酸 / ホスホン酸 |
Research Abstract |
正四面体錯体を優位にとると予想される交差カルボン酸型カリックス[4]アレーンは、グリシンによりマスキングすると平面四配位型の銅の抽出が完全に抑制でき、コバルト、亜鉛から銅を完全に除去できることが分かった。ケトン型カリックス[4]アレーンは0.5M程度の硝酸溶液中で銀の抽出が可能であり、この酸領域では高濃度のパラジウムからの微量の銀の除去も可能である。本抽出剤は、銀に対してパラジウムの選択性が高い一般の抽出剤と異なり、パラジウムに対して銀の選択性が高いため、パラジウムの高純度化に相応しい抽出剤であると言える。銀に対する高い選択性は、環の大きさが銀に適合していること、錯形成に関与するカルボニル基が集合していることによるものであると考えられる。ヒドロキサム酸型カリックスアレーンは、三価の金属、特にインジウム、ガリウムに対する選択性が非常に高いことが明らかとなった。これは、ヒドロキサム酸基のキレート形成によるものであると考えられる。lower rimのホスホン酸は他の抽出剤と比較して立体障害が最も大きく、合成が非常に困難であり、現在中間体までの合成にしか至っていない。upper rimのホスホン酸型は、相当するモノマー誘導体と比較して希土類に対する劇的な分離性能の向上には至らなかった。この原因として、upper rim側では環サイズが希土類で最も大きなLaよりも大きいため、カリックスアレーン自体は軽希土類のほうに選択性があるのに対して、ホスホン酸基はイオン半径の小さな重希土類に選択性があるため、両効果が相殺されることによるものであると考えられる。従って、よりrigidになるような置換基の導入が必要である。また、両効果が相乗すると考えられるlower rimのホスホン酸型の合成が望まれる。
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