1995 Fiscal Year Annual Research Report
葉組織機能を有する毛状根の誘導とそのフォトバイオリアクター培養による有用物質生産
Project/Area Number |
06650915
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田谷 正仁 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (60144127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀ノ岡 正博 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (40234314)
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Keywords | 生物化学工学 / バイオリアクター / 有用物質生産 / 植物細胞培養 / 緑化毛状根 / クロロフィル生成 / 光照射 / パックブン毛状根 |
Research Abstract |
葉組織機能を有する毛状根の誘導とそのバイオリアクター培養を行い,以下の結果を得た. 1.連続的な光照射下での培養において,パックブン毛状根は分枝した根の形態を維持したままで緑色化し,その細胞内にはクロロフィルの生成とチラコイド膜系の形成が認められた.光照射のもとで培養された緑色毛状根は,活発な増殖ならびに高いsuperoxide dismutase (SOD)活性およびperoxidase (POD)活性を示した.緑色毛状根の良好な増殖と比較的高いSOD活性およびPOD活性を与える光照射条件として,白色蛍光灯による11.1W/m^2の光強度を選定した.光強度11.1W/m^2における緑色毛状根の培養では,培養時間21日で得られた毛状根増殖,全SOD活性および全POD活性は,暗条件下の値より増加した.特に,光照射下でみられる緑色毛状根の増殖促進は,側根が頻繁に分枝し,その結果,根端部にある生長点数が増加するためであることが分かった. 2.パックブン緑色毛状根のクロロフィル生成特性について検討を行った.光照射条件下で培養された毛状根内のクロロフィル生成においては,毛状根の先端から基部方向に向かってクロロフィル含量の分布が観察され,この分布は,毛状根内の細胞年齢分布により生じると考えられた.実験結果に基づきクロロフィル生産速度式を提案し,光照射条件下および暗条件下におけるパックブン緑色毛状根の培養に適用した.計算値と実測値は良好な一致を示し,毛状根の増殖およびクロロフィル生成過程を速度論的に表現できた. 3.上記の結果をもとに,内部光照射型バイオリアクターを作製し,パックブン緑色毛状根の培養を行った.リアクター内部において,毛状根はほとんど流動しないことから,細胞内のクロロフィル含量およびSOD,POD活性は,光照射面からの位置に依存して低下したが,リアクターによる緑色毛状根の培養が可能であることを実験的に示した.
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[Publications] Masahito Taya: "Characterization of Pak-Bung Green Hairy Roots Cultivated under Light Irradiation" J.Ferment.Bioeng.78. 42-48 (1994)
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[Publications] Masahito Taya: "Growth Characteristics of Liverwort Cells,Marchantia paleacea var.diptera,in a Photoautotrophic Suspension Culture" J.Ferment.Bioeng.80. 580-585 (1995)
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[Publications] 田谷正仁: "パックブン緑色毛状根の増殖およびクロロフィル生成特性とその速度論的解析" 化学工学会新潟大会研究講演要旨集. 262-263 (1995)
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[Publications] 佐藤仁: "化学工学シンボジウムシリーズ37「植物機能および植物生産物利用技術の新展開」" 化学工学会, 150 (1994)
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[Publications] Setsuji Tone: "Hairy Roots" Harwood Academic Publishers (in press), (1996)