1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ノックアウトマウスを用いるアレルギー治療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
06650918
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 斉 岡山大学, 工学部, 教授 (70116440)
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Keywords | アレルギー / IgE抗体 / リンパ球 / IgG Fc受容体 / クラススイッチ / 遺伝子ターゲッティング / ノックアウトマウス / ES細胞 |
Research Abstract |
アレルギーの主たる原因は生体内に侵入してくる花粉やダニなどの抗原に対して IgE抗体が産生されることにあり、IgE産生を特異的に抑制する手段があればアレルギーの根本的治療につながると考えられる。この目的のために、我々はマウスリンパ球を用いる IgE産生系を開発し、IgE産生調節機構を多面的に解析してきた。最近この研究の過程で、抗原に特異的な IgG1モノクローナル抗体をマウスにあらかじめ投与しておくと、IgEの産生が強く抑制されることを見いだした。この現象をin vitroのリンパ球培養系で解析したところ、IgG1と抗原の複合体がB細胞上の IgG1のFcに対するII型受容体(FCγRII)への結合を介して、B細胞の分化を抑制していることが示された。これらの結果はIgEの産生をFcγRIIを介して制御できる可能性示唆しており、アレルギー疾患の新規な治療法の開発につながるものとして重要である。この機構を解析するために遺伝的に FcγRIIを欠損したマウスを遺伝子ターゲッティングにより作製しこの現象を詳細に検討することを計画した。その概要は以下の2点である。(1)ジーンターゲッティング法によりマウス胚性幹(ES)細胞においてFcγRII遺伝子をノックアウト(破壊)し、胚盤胞期胚に注入することにより発生させ、交配によってFcγRII遺伝子の欠損したノックアウトマウスを作製する。(2)このマウスにおいて,IgEへのクラススイッチおよびIgG1抗体によるIgE産生の抑制が対照マウスに比較してどのような変化を受けるかを解析する。今年度は(1)のノックアウトマウスの樹立に成功したので、現在その解析に取りかかっているところである。
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