| Research Abstract |
研究計画にもとづき,PAN17DX(polyacrylonitril)を試験透析濾過器として,1)透水性実験,2)単純濾過実験,3)透析実験,4)透析濾過実験,5)Push/Pull透析濾過実験および6)非定常透析濾過実験を施行した。その結果,1)純水濾過係数の値は3x10^<-5>cm^3/(cm s Pa)となった。2)みかけの阻止率の値は,アルブミン1.0,ミオグロビン0.10-0.16(濾液流量Q_F=-300〜150ml/min),ビタミンB_<12>以下の分子量物質でほぼ0の値を示し,強いQ_F依存性を示す溶質はみあたらなかった。3),4)溶質除去能を表すクリアランス(CL)とQ_Fの関係を-450<Q_F<180ml/minの範囲で求めたところ,Q_F=0(透析実験)の値をはさみ、尿素では上に凸,ミオグロビンでは下に凸状の曲線得られた。従ってミオグロビンでは,Pull相(Q_F>0)でのCL増加分がPush相(Q_F<0)でのCL減少分よりも大きいためPush/Pull透析濾過の方が血液透析(HD)より優位であり,尿素では逆の結果が容易に予想された。5)容量150mlのバッグと可逆ローラポンプからなるOne Bag方式Push/Pull血液透析濾過実験より得られた時間平均CL値は,3),4)と同様な傾向が得られたが,その値は5)の実験値の方が4)からの推算値よりも絶対値で小さいことが明らかとなった。例えば,ミオグロビンのHDのCLは,実測値で44.4,推算値で46.1ml/minであるのに対し,Push/Pull=100/300ml/minの血液透析濾過では,実測値56.9,推算値80.8ml/minであった。これはPush相→Pull相,Pull相→Push相の切替え直後においては,その切替え直前の相の影響がモジュール内に残留しており,この非定常状態の影響が反映されたものと思われた。そこでこの溶質除去に及ぼす非定常の影響を確認するため,6)として頻回サンプリング(または連続測定)による透析濾過実験を今後行い,これによりPush/Pull透析濾過の詳細なメカニズムを明らかにする予定である。
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