1994 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性表面の低温処理による培養細胞の接着・脱着メカニズムの解析
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06650926
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Research Institution | Yonezawa women's junior college |
Principal Investigator |
山田 則子 山形県立米沢女子短期大学, 健康栄養学科, 教授 (50107314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
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Keywords | 温度応当型作用場流動分画 / イソプロピルアクリルアミド / 血管内皮細胞 / 細胞の接着・脱着 / 細胞-表面相互作用 |
Research Abstract |
イソプロピルアクリルアミド(IPAAm)モノマーをポリスチレンフイルム上に電子線照射によりポリIPAAmを表面グラフトした。電子線照射強度、時間、モノマー濃度を変化させ、表面グラフト層の厚さと表面の親水性・疎水性の温度応答性をESCA、動的接触角測定により解析した。その結果、45%モノマー濃度で2回照射した表面が最も本実験に適していた(YBプレート)。 このYBプレートとガラス板との間に厚さ0.03cmのテフロンスペーサーをはさんだ温度応答型作用場流動分画装置(FFF)を設計し作製した。チャンネルは体積0.135cm^3、表面積4.5cm^2、最大流速(4cm/s)におけるレイノルズ数は約15であり層流範囲にあった。このFFFチャンネルの表面で細胞を培養し一定の層流を流すと表面にかかるせん断応力は流速に比例したことから、FFFによって表面と細胞との接着力および脱着力を定量的に評価できることを示した。市販の培養用ポリスチレン板を対照とし、またガラス面へHEMA-sTブロック共重合体を被覆し細胞の粘着を制御した。 培養したウシ大動脈の血管内皮細胞をチャンネル内に満たし、それぞれ37℃、25℃、10℃に静置し、細胞の接着率を経時的に調べた。接着率は37℃ではYB、対照ともにほぼ100%であったが、25℃ではYBが約40%、対照が約80%、10℃でYBが約10%、対照が約80%であった。低温では温度応答表面が親水性になり細胞の接着が妨げられることを示した。また、チャンネル内で血管内皮細胞を37℃で4時間または16時間培養した後、10℃の培地を流速1cm/sで流し脱着細胞数を経時的に測定した。YBの細胞脱着率は4時間培養で約80%、16時間培養で約20%であり、培養時間の増加とともに細胞-材料間、細胞-細胞間の接着力が増大することを示した。16時間培養した細胞を10℃で10分間静置後、25℃の培地を流すととほぼ100%の細胞が脱着回収できた。これらの結果は細胞の脱着には表面の親水性だけでなく細胞自体の代謝が関与することを示した。
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