1994 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による固相アルカンの選択的な炭素-水素結合切断-固相モノメチル置換アルカンから生成する遊離基の生成機構-
Project/Area Number |
06650948
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 信昭 広島大学, 工学部, 助教授 (20127624)
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Keywords | モノメチル置換アルカン / 選択的炭素-水素結合切断 / 遊離基 / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
固相モノメチル置換アルカン(Me-RH)の放射線照射による炭素-水素結合切断で生成する遊離基(R・)の電子スピン共鳴(ESR)の観測より、水素脱離位置の決定を主に行い、以下の結果を得た。 1.選択的に重水素置換した新たな2-メチルアルカンを用いて77Kでの放射線照射で生じるR・について検討し、Me-RHからの水素脱離は、主鎖の末端から二番目のいちで選択的に生じることをより明確に示す結果を得た。 2.Me-RHからの特定な位置にハロゲン原子を有するアルキルハライド(RX)を77Kで放射線照射し、ハロゲン原子の選択的な脱離により生成するR・のESR吸収の解析を行い、Me-RHの特定な位置の水素脱離によるR・のESR吸収を決定する水素の超微細結合特定数をほぼ決定できた。この結果と選択的に重水素置換したMe-RHの放射線照射で生成したR・の結果より、主鎖の末端から二番目の水素の選択的な脱離に関して投稿の準備を進めている。このRXからのR・、特に1級のR・は,77Kで異性化することも見いだした。この結果はR・の熱反応を考えるうえで重要と考え、さらに検討するとともにMe-RHからのR・の熱的な異性化についても調査中である。 3.ヨウ化水素の光分解で生成する水素原子(H・)によるMe-RHからの水素引き抜き反応を検討するため、Me-RHの77Kでの放射線照射により生成したR・の紫外線照射を行ったところ、250nm付近の光照射でR・の異性化が認められた。この結果は、水素引き抜き反応で生成するR・のH・のエネルギー依存性を検討する上で大きな問題があることを示し,250nmより長波長の光を用いた水素引き抜き反応や他の方法によるR・の生成等,実験方法の再検討と共に、どのような変化に帰因するかを検討中である。さらに、現在、4Kでの放射線や光照射によって生成したR・のESRの測定やAb initio計算による反応解析の準備を行っている。
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